放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

オンライン動画配信「Hulu」正式運用開始

NBCユニバーサルとFOXが共同出資して2007年10月から試験を行っていたオンライン動画配信サービス「Hulu(フールー)」が3月12日,正式運用を開始した。同サイトでは,人気テレビ番組250本や映画100本などが,広告付きで無料ストリーミング配信される。コンテンツは,NBC,FOX,ソニー・ピクチャーズなど50以上の企業が提供し,新たにプロバスケットのNBAやプロアイスホッケーNHLの試合も配信される。ビデオの違法投稿が問題視されるユーチューブなどに比べ,メディア企業からの質の高い映画,番組,クリップを提供できるのが特徴だとしている。対象は米国内に限られ,外国からはアクセスできない。

米TiVo,ユーチューブ動画の配信で提携

米DVR( デジタル録画機)サービス大手のTiVo社は3月12日,動画投稿サイト大手のユーチューブとの間でオンライン動画の配信サービスを行うための業務提携で合意したと発表した。これによりTiVoのユーザーはユーチューブの動画をテレビで視聴することができるようになる。サービス開始時期は明らかにされていないが,このサービスではTiVoのサービスメニューにユーチューブのカテゴリーが加わり,ユーザーはテレビ画面上でユーチューブの動画を視聴したり,ネット上の動画を収集することができる。

米・デジタル移行への認識高まる

アメリカでは2009年2月17日に地上デジタル放送f への完全移行が行われるが,APTS(米公共テレビ局連盟)が3月20日に発表した調査結果によると,アナログ放送が終了しデジタル放送に切り替わることを知っている人の割合は,2007年11月の51%から,2008年2月には76%まで増えていることがわかった。また,地上波をアンテナのみで受信していて,デジタル移行について知っていると答えた世帯の62%が,移行後もケーブルや衛星の有料サービスより,デジタル変換コンバーターで無料のデジタル放送を受信したいと希望していることが明らかになった。

700MHz周波数帯域の競売,200億ドルで終了

FCC(米連邦通信委員会)は3月20日,1月中旬から行ってきた,アナログ放送の終了で空く700MHz 周波数帯域の競売が終了し,落札総額は200億ドル近くに上ったと明らかにした。事前の予想の2倍近い額で,大きな成功だったとしている。主な落札企業は,ベライゾン・ワイヤレスやAT&Tなど米大手携帯通信会社で,今後数年間,無線ブロードバンド事業展開の主導権を握ったことになる。携帯電話事業への参入を決め,事前に注目されていたグーグルは落札できなかった。

米司法省,衛星ラジオ2社の合併を承認

米司法省は3月24日,米衛星ラジオ最大手のXMサテライト・ラジオと2位のシリウス・サテライト・ラジオの50億ドルに上る合併を承認した。合併により衛星ラジオ事業者が1社となり,業界の独占状態を生み出すことから,消費者団体や地上ラジオ局からは反対が起きていた。しかし,司法省は,移動体ブロードバンドなど他の媒体との競争から料金の値上げは起きず,聴取者に不利益は生じないとして合併を承認した。なお合併の実現には,さらにFCC(米連邦通信委員会)の承認も得る必要がある。

米2007年の広告費,前年比0.6%増

ニールセン社は3月31日,2007年の全米の総広告費が前年比0.6%増だったと発表した。媒体別ではインターネットが前年比18.9%増という大幅な伸びを示し,雑誌(全国誌)や屋外広告もそれぞれ7.6%,7.2%増と好調なのに対し,ネットワークテレビは1.5%減,ネットワークラジオ3.9% 減,ローカル紙7.5%減,全国紙7.7%減など,従来型メディアは軒並み減少している。なおネットワークテレビでCM放送回数が最も多かったのは『アメリカン・アイドル(FOX)』で4,349回に上った。