放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC,MySpaceと契約

イギリスの公共放送BBCの商業部門のBBCワールドワイドは1月24日,ニューズ・コープ傘下のSNSサイトのMySpaceと契約を結び,同サイトに BBCのドラマ,コメディー,自然科学,趣味など,各番組を紹介する3分間のビデオ・クリップを提供しはじめた。BBCはすでにYouTubeでも番組クリップを配信している。

仏,アナログ放送終了のパイロット計画実施へ

地上デジタル放送のサービス拡大が進んでいるフランスで,アナログ放送終了に向けた動きが始まった。アナログ放送終了とデジタル放送への移行を推進する団体であるFrance Tele NumeriqueのLevrier会長が1月4日,人口が5,000人~1万人程度のパイロット都市を選定し,秋にアナログ放送を終了する計画を明らかにした。この団体は2007年3月の改正による放送法の新規定に基づき設立されたもので,政府,France Televisions,ARTE France,TF1,M6,Canal Plusが設立に参画しており,2008年の予算は734万ユーロ。

独KEF,受信料値上げを答申

ドイツの公共放送が2007年5月に申請した受信料の値上げについて,「公共放送の財源需要の審査委員会」(KEF)が2008年1月,答申を公表した。それによると,2009年1月から2012年末までの4年間の受信料は,テレビ・ラジオ併用の場合,月額17.98ユーロで,現行の17.03ユーロに対し0.95ユーロ上乗せする,5.6%の値上げとなる。改定額は,この後,州首相会議,各州議会で審議される。公共放送側が申請していた値上げ幅は月額 1.69ユーロで,それよりも低く抑えられた。

独有料放送Premiereの株をNews Corp.が大量取得

ルパート・マードックが率いるニューズ・コープ(News Corp.)は1月7日,ドイツの有料放送Premiereの株式14.58%を,保有していたUnity Media社から2億8,700万ユーロ(約450億円)で取得した。これで同社はPremiereの筆頭株主となり,欧州の有料市場における地歩を拡大した。マードック氏がPremiereに資本参加するのは2度目。2000年に当時キルヒ・グループ傘下にあったPremiere(当時Premiere World)に出資したが,同グループの経営破たんで損害を出した後,ドイツからは撤退していた。

伊RAI経営委,3か年事業計画を承認,若者層獲得へ

公共放送RAIの経営委員会は1月23日,2008‐2010年の事業計画および2008‐2009年の編集方針計画を承認した。新計画は若者層の再獲得をめざしており,エンターテインメント部門の強化,商業放送とは差別化したコンテンツ作り,自己制作の強化,Rai1とRai2の番組重複解消,Rai1 のプライムタイムにおけるニュース枠の再編,深夜0時以降の情報番組はRai3のみで放送,などの項目を含む。また,衛星有料放送の検討も含まれている。

伊プローディ政権崩壊,放送改革案は廃案へ

1月24日,イタリア上院で内閣信任案が否決され,プローディ首相はナポリターノ大統領に辞表を提出した。プローディ政権の崩壊により,議会で審議中だった新放送改革法案,および公共放送RAIの新しい企業統治を定める新RAI改革法案など20以上の重要法案が廃案となり,同政権が2006年5月の発足当時から掲げていた放送制度改革は志半ばにして頓挫した。しかし現行放送制度の改革は急務であり,今後は総選挙,新政権発足を経て,新法案の提出を待つことになる。

欧州委,公共サービス放送指針の改定で意見募集開始

EUの欧州委員会は1月10日,EU加盟各国の公共放送の任務定義と財源のありかたが市場競争に悪影響を与えないための制度上の基準を示した指針について,必要があれば改定する意向を示し,意見の募集を開始した。現在の指針は2001年に策定されたもので,公共サービス放送の明確な任務定義,有効な監督機関,商業活動の会計分離が必要だと定めている。欧州委は,この枠組みを踏襲しつつ,新しいデジタルサービスが普及している現状に照らして,改定が必要かどうか各国関係者と協議する。改定版は2009年1月の発表を目標とする。