放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBCトラスト,新視聴者への約束を発表

BBCの監督機関であるBBCトラストは11月29日,視聴者の意向吸収を適切に行い,事業運営に反映するためのプロトコル(手続き)を発表した。これは,「皆さんへの約束:トラストが視聴者と結びつくには」(Our Promise To You: How the Trust will engage with audiences)という文書で,2007年1月に発効した特許状がトラストに発行を義務づけていた。トラストは,受信許可料の使途や新サービスの提供など重要なテーマについて視聴者の意見を募集するが,その際,説明文書の発行や世論調査だけでなく,各地域に設置された視聴者審議会が,各地域の視聴者の意向を吸収する上で大きな役割を果たすことになる。

仏地上デジタル,携帯受信向け放送の免許公募

地上デジタル放送における携帯受信向け放送について,フランスのCSAは11月6日,免許公募の開始を決定した。公募の対象となるのは13チャンネルで,ほかに3チャンネルを政府が公共放送用に確保している。またラジオ用,双方向サービス用にも周波数帯が確保されている。免許期間は10年間で,技術規格にはDVB-H方式が採用された。応募の締め切りは2008年1月15日で,年末までに放送開始の予定。ただし,準備が整った事業者は夏の北京オリンピックからの放送が可能である。

仏地上デジタル,HDTV放送の事業者決定

地上デジタル放送におけるHDTV放送について,フランスのCSAは6月に2チャンネルの免許公募を開始したが,11月20日にTF1 HDとM6 HDに免許を交付することを決定した。政府が公共放送用に確保したチャンネルではF2が放送することに決定した模様で,これら3チャンネルは2008年春に放送を開始する見込みである。またCSAは,現在SDで放送中の有料チャンネル1チャンネルのHD化について免許公募を2007年末までに開始し,2008年初めにはさらに3チャンネルの免許公募を開始すると発表した。

独公共放送,インターネットで番組配信へ

ドイツ公共放送連盟(ARD)を構成する州放送協会の1つ,WDR(西部ドイツ放送協会)が2007年10月29日,「WDRメディアテーク<地域>」の名称で,無料の動画オンデマンドサービスを開始した。WDRは,ノルトライン=ヴェストファーレン州の放送協会で,州内の11の放送局で制作・放送する地域番組を過去30日分,オンデマンド配信する。ストリーミング映像で,保存は不可。ドイツではすでに,公共放送ZDF(第2ドイツテレビ)が2007年8 月末に「ZDFメディアテーク」の名称で,過去7日間に放送した番組の無料オンデマンド配信を開始している。ARDにも,全国チャンネルの第1テレビ(DasErste)の番組を,2007年秋から同様に提供する計画があったが,国内のメディア界の批判にあい,ARDを構成する州放送協会は当面,それぞれのサイトで独自に展開している。

ドイツテレコム,放送送信部門を仏TDFに売却

ドイツテレコムは11月8日,子会社T-Systemsの放送送信部門Media&Broadcastを,フランスの放送送信事業者 Telediffusion de France(TDF)に8億5,000万ユーロ(約1,360億円)で売却することで合意した,と発表した。Media&Broadcastは,ドイツの地上デジタル放送(DVB-T)やデジタルラジオ(DAB)の全国送信網を所有し,放送事業者から委託を受けて送信を行っているほか,衛星へのアップリンクも行っている。

伊Mediaset,地上デジタル新規2チャンネルを開設

イタリアの商業放送最大手Mediasetは,11月21日,地上デジタル放送で2つの新規チャンネルを開設すると発表した。まず「IRIS」が11月 30日から放送を開始し,主に映画のほか,演劇やクラシック音楽なども提供する。もう1つの「BIS」は2008年6月までに開始予定で,80年代初めに Mediasetグループが放送を開始して以来のアーカイブを再編成した娯楽番組を提供する。これで,同グループが地上デジタル放送で提供する新規の無料チャンネルは,子ども向けの「Boing」に続き,3つめとなる。