放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

韓国で「世界公共放送会議」開催

世界の公共放送の関係者が一堂に会する「世界公共放送会議」(PBI Seoul 2007)が10月10日から3日間,韓国のソウルで開催された。今回の総会は「デジタル革命と公共放送の展望」がテーマで,放送と通信など,メディアの融合が進む中,公共放送が迎えている危機と,それを乗り越えるための各公共放送機関の財源確保に向けた努力などについて討論が行われた。総会にはNHKの橋本会長をはじめ,世界30の国と地域の公共放送関係者およそ100人が出席した。

韓国の報道機関初の「第2労働組合」発足

KBSの部長級以上の管理職職員50~60人が,待遇改善や公正な放送の実現を目指すための労働組合「KBS公正放送労働組合」を10月30日に結成した。KBS本館で開催された発足式では,ユン・ミョンシク共同委員長が「独立性と公正性の確保,それに道徳性の回復を最優先の課題とし,無能な経営陣に対しては責任を問う」と訴えた。同労組は2005年に労組設立申告書を提出したが,労働部が受け入れなかったため行政訴訟を提起,今年6月に大法院で最終勝訴して労組設立が認められた。

韓国放送委員会,地上放送の「中間広告」を許容

韓国の放送委員会は11月2日,現在原則禁止となっている地上放送の中間広告(テレビ番組の途中で入る広告)の許容範囲を拡大する決定を行った。放送委員会はその理由として,地上放送のデジタル転換及び公的サービス実現のための安定的な財源確保などを挙げているが,ケーブルテレビ業界や新聞業界,それに市民団体などからは反対の声が上がっている。

台湾,最大手ラジオ局会長が“政府の圧力”理由に辞任

台湾の野党系ラジオ局「中国ラジオ」の趙少康会長は10月24日,「政府から様々な圧力を受けた」ことを理由に会長や番組キャスターを辞任することを明らかにした。中国ラジオは国民党が与党だった頃から台湾のラジオ周波数帯域の3分の1を保持する最大手のラジオ局だが,2000年の政権交代後も一部の周波数帯域の返還になかなか応じず,その独占的体質が批判されていた。陳水扁政権の「党・政・軍のメディアからの撤退」政策を受けて国民党は2006年12 月,中国ラジオの土地などを除くメディア事業の株式とチャンネル許可証をUFOラジオ前会長の趙氏に売却する合意文書を交わし,趙氏が中国ラジオ会長に就任した。趙氏は現在もUFOラジオの実質的な経営者と見られるため,趙氏によるラジオメディア“独占”を懸念する声も上がり,行政院は,独立規制機関であるNCC=国家通信放送委員会が条件付きで認めた中国ラジオの株主変更を取り消し,経済部や公正取引委員会が厳格な審査を行っていた。

香港,RTHKのトップ公募で応募締め切る

今年7月に現職のトップ(廣播處長)が辞任を表明した香港の公共放送RTHKで,新しいトップが公募され,10月26日に応募が締め切られた。朱培慶廣播處長は7月初め,繁華街でカラオケ店のホステスと腕を組んで歩いているところをマスコミに撮影され,数日後に早期辞任の意向を表明していた。RTHKの運営をめぐっては,親中派が「もっと政府の政策のPRを」と批判を強めている一方,民主派や市民団体は「編集権の政府からの独立の確保」を求めており,次期のトップ人事が注目されている。

インド政府,Live Indiaの放送禁止処分を解除

インド情報放送省は,10月12日,衛星テレビのニュース専門チャンネルLive Indiaに科していた放送禁止処分を前倒しで解除した。同チャンネルはデリーの学校教師に対し根拠のない誹謗中傷放送を行ったとし,「1995年,ケーブルテレビ・ネットワーク規制法」20条第2項により,9月20日,1か月間の放送禁止処分を受けていた。放送の中で生徒に売春を斡旋したと指摘された女性教師が勤務する学校周辺は大混乱となり,教師は逮捕,解雇された。Live India側は,「番組はレポーターのミスリードによるものであり,局として故意に特定の個人に対し汚名を被せる意図は一切なかった。今後は放送倫理の徹底に十分注意する」とし,当局の寛容な対応を訴えていた。