放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

2007年6月

6.1自主放送CATV加入者数2,000万超す

総務省の調査によれば,自主放送を行っているケーブルテレビの加入者数が2006年度に初めて2,000万を超え,2,063万世帯となった。前年度比 7.7%増。ケーブルテレビ会社数は525社で前年より5社減った。一方,再送信のみを行っている局の加入者数は前年度比2.1%減の811万世帯。

6.5放送法改正案,継続審議へ

自民・公明両党は,「ねつ造」放送等不祥事を起こした放送局への新たな行政処分を含む放送法改正案の通常国会での成立を断念した。放送法改正案は5月22日に審議入りしたが,審議日程の問題や放送界の反対などを考慮して,衆議院で継続審議とする方針を決めた。

6.6ゴルフ中継で不祥事,TBS社長が謝罪

TBS がゴルフの関東アマチュア選手権で,高校1年生の人気選手の競技中の声をひそかに拾うために,大会前日に同伴競技者に小型マイクを装着するよう依頼した問題で,井上弘社長が記者会見で謝罪した。TBS は競技中に取材ヘリを飛ばし,関東ゴルフ連盟から文書で注意された。

6.8放送倫理検証委員会,初の審理事案を決定

「発掘!あるある大事典」の「ねつ造」問題に端を発した放送界の不祥事に対する自律機関として発足した「放送倫理検証委員会」が,TBS の「みのもんたの朝ズバッ!」での不二家不祥事報道で虚偽の内容があったとする関係者からの申し立てを受け,初の審理案件とすることを決めた。

6.11個人情報保護法,法改正見送り

国民生活審議会の個人情報保護部会が開かれ,個人情報保護法の見直しに関する意見の取りまとめ案を了承した。個人情報保護に関しては,過剰反応の結果,必要な情報まで公開されない事態が相次いでいるため,新聞協会等が制度の見直しを求めていた。部会では現行例外規定を活用して対応すべきだとの指摘にとどまり,法改正そのものの提言は見送られた。

6.19放送・通信関連法,一本化の提言

総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長・堀部政男一橋大名誉教授)が,「中間取りまとめ」を公表。通信・放送関連法の一本化が打ち出された。

6.26NHK経営委員会,新委員長に古森重隆氏

NHK 経営委員会の新委員長に古森重隆氏(富士フイルムホールディングス社長)が就任した。NHK 経営委員は,再任も含めて6人が新たに任命され,委員による互選で古森氏が委員長に選任された。古森氏については,委員として国会の同意を得る段階から新委員長と報道されたため,互選によって委員長を決めるルールに反するのではないかとの疑問が出ていた。

6.26日本テレビの報道で倫理違反

「放送と人権等権利に関する委員会」(BRC)が,日本テレビが2007年2月に放送した「NEWS ZERO」など3番組で行き過ぎた内容の報道があり,放送倫理に違反するとの見解を発表した。倫理違反があったとされたのは,東京都内のエステ店経営者が,医師法違反容疑で書類送検された事件に関する一連の報道で,経営者が「盗撮映像が使われ,プライバシーが侵害された」と申し立てていた。BRCは審理の結果,名誉毀損ではないものの,「隠しカメラ・マイクによる取材が不可欠だったとは言い難く,行き過ぎた懲罰的内容になっている」として,放送倫理に違反するとの見解を示し,日本テレビに対し,決定の趣旨を放送で伝え,再発防止に努めるよう求めた。

6.28買収防衛策を承認,TBS株主総会

TBS の定時株主総会が開催され,筆頭株主である「楽天」と対立する経営陣から提案されていた買収防衛策が77%の賛成を得て承認された。