放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米ニューズ社,ダウ・ジョーンズに買収提案

メディア大手のニューズ・コーポレーション社は,米新聞所有会社のダウ・ジョーンズ社に対して50億ドルの買収を提案した。ダウ・ジョーンズ社が5月1日明らかにした。ダウ・ジョーンズ社は,「ダウ平均株価」などの株式指標サービスや,ウォールストリートジャーナル紙を傘下に置いていることで知られる企業。ニューズ社は経済ニュース専門のテレビチャンネルを今年中に新設すると発表しており,今回の買収提案はこれに向けた布石と見られている。しかしダウ・ジョーンズ社は声明を出して買収を拒む姿勢を見せている。

米ABCとコックス,VODサービスで提携

米ディズニー傘下のABC ネットワークとESPN は5月8日,ケーブルテレビ業界第三位のコックス・コミュニケーションズとVOD サービスで提携を結んだ。これによりコックスの加入者はSTB経由で,ABCの人気番組やESPN の人気スポーツ番組などをオンデマンドで視聴可能になる。今回注目されているのは,このサービスではCM を早送りする機能が無効とされること。今回の提携により,今後大手テレビ局による人気番組の無料オンデマンドサービスが広がっていくものと見られる。

ケーブルチャンネル別視聴者の政党支持傾向調査

アメリカの消費者調査会社スカボロー・リサーチ社は5月8日,人気ケーブルチャンネルごとの視聴者の政党支持傾向に関する調査結果を発表した。これによるとCNN,SoapNET,Lifetime Movieなどのチャンネルでは民主党支持者の割合が高く,逆にFoxニュース・チャンネル,ゴルフチャンネル,Speed Channel等では共和党の支持者の割合が高かった。また顕著な支持政党の傾向が見られなかったのは,MSNBCだった。来年の大統領選挙に向けてこうしたデータを活用した各党のメディア戦略がクローズアップされると見られる。

米SNSのMySpace,新しい映像チャンネル開始へ

米ニューズ社傘下の大手SNS(Social Networking Service)であるMySpaceは5月15日,ニュースや生活情報などを扱う複数の新しい映像チャンネルの提供を開始すると発表した。これらの新チャンネルには,ニューヨークタイムスやロイターが映像配信するほか,ナショナル・ジオグラフィック社も『Explore』『The Dog Whisperer』などの人気テレビ番組のクリップを配信する予定である。またライフスタイル関連のチャンネルでは,音楽やスポーツなどの娯楽コンテンツが提供される予定である。

国民の4人に3人はアメリカンアイドルに無関心

今シーズンで6シーズン目となり今やアメリカの国民的番組とも評されるFOXの視聴者参加型のオーディション番組『アメリカンアイドル』だが,関心を持たない人も多数いるという調査結果が出た。独立系の社会調査機関The Pew Research Centerが5月17日に発表した調査結果によると,同番組を「非常によく」又は「よく」見ている人は22%で,特に18~49歳の女性でその割合が高かった。「非常によく」見ている人では84%が家族や友人,同僚との会話の話題となるとしている。一方,66%の人は全然見ていないと回答,会話の話題に「殆ど」又は「全く」上らない人があわせて70%だった。

米ニールセン,CM視聴率データの公表を開始

視聴率調査大手のニールセン社は5月31日からテレビCMの視聴データの公表を始めた。CMの早送りが可能なDVR(デジタル録画機)が普及する中,CM の視聴実態を不安視する業界の要望に応えたもので,リアルタイム視聴のほかに,DVR による再生時のCM視聴データを提供する。同社によるとDVR 所有世帯では,プライムタイムのテレビ視聴の42%はDVR による再生視聴となっている。公表されたデータによると,NBCの『The Offi ce』は,リアルタイムでのCM視聴率が3.11%だったのに対し,DVR による再生でのCM視聴率は3.36%で,プライムタイムの番組の中で再生時のCM視聴の割合(対リアルタイム)が最も高かった。