放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBCトラスト,iPlayerを正式承認

BBCの監督機関であるBBCトラストは4月30日,オンデマンドの新サービス「iPlayer」をBBCの公共サービスとして実施することを正式に承認した。見逃した番組を7日間インターネットやケーブルテレビでオンデマンドで視聴できるキャッチアップサービスなどを含むiPlayerは,新特許状と協定書の下で初めて公共的価値の審査にかけられた。BBCトラストは,BBCの提案からクラシック音楽番組のポッドキャストを禁止するなど,市場への影響評価や業界関係者の意見を考慮した判断を示した。

英デジタル移行支援計画固まる

イギリス政府は5月4日,2012年に地上アナログ放送を完全に終了するためのデジタル移行支援計画についてBBCとの間で合意に達し,協定書が発効されたことを発表した。この協定書では,障害者など支援を受けることができる適格者の規定や申請手続きなどが規定されているほか,2012年までに受信許可料から6億300万ポンドの支出が行われることや年次支出額なども記載されている。

仏,アナログ放送終了に向け官民で団体設立

3月の放送法改正により,フランス政府とアナログ放送事業者が公益団体を設立することになったが,設立のための協約を承認する政令(アレテ)が4月27日の官報で公布されたのを受け,同日,新団体が設立された。新団体「France Tele numerique」には政府とFrance Televisions,ARTE-France,TF1,M6,Canal Plusが参加し,アナログ放送の円滑な終了と視聴者による継続的なテレビ受信を確保するため,必要な調整と視聴者への広報活動を行う。また,当団体は地上デジタル放送受信用機器の購入を補助するための基金を管理する。

独Premiere,衛星プラットフォーム配信でAstraと合意

有料放送Premiereは4月19日,9月にドイツで導入される衛星デジタルプラットフォーム「entavio」で全番組を配信すると発表した。 entavioは,衛星事業者SES Astra社がすべての有料チャンネル事業者にスマートカード発行,対応セットトップボックス(STB)の認証,信号のスクランブル化など技術サービスを提供するもの。AstraとPremiereによれば, 現在使用されている約250万台のPremiere対応のSTBと今後市場に出るentavio対応のSTBは互換性をもち,現在のPremiere契約者はentavioへのアクセスも可能になる。

独ドイチェ・ベレ,YouTubeと提携

ドイツの国際放送機関ドイチェ・ベレ(DW)は,4月中旬から,米グーグル傘下の動画共有サイトYouTubeへの映像配信を開始した。テレビ国際放送 DW-TVで放送したインタビュー番組や情報番組など,4分から25分程度の動画を同サイト上で公開している。YouTubeは,著作権無法地帯と批判されているが,ユーザーの反応をダウンロード数やコメントによって即座に把握でき,動画検索ポータルとして多大な影響力を持つことから,同サイトによる“ブランド・チャンネル”の扱いで,米NBC,カタールのアルジャジーラ,英BBCなどの放送機関や,米アイスホッケーリーグ(NHL),英サッカー・プレミアリーグのチェルシーなど,著作権者が自ら,YouTube上に公式ページを設け,動画を供給する動きが相次いでいる。

伊,Skyの有料放送収入,RAIの受信料収入を超える

4月11日に公表されたAGCOM の調査結果によると,2006年の衛星放送Sky Italiaの有料放送収入が,公共放送RAI の受信料収入を超えた。4月21日付けの『Il Sole 24 Ore』紙によると,Skyの加入者は2006年末に400万件を突破し,2006年度の有料放送収入は約19億2,600万ユーロ,RAI の2006年受信料収入は約15億400万ユーロ。

伊,ヴァッレダオスタ州でも一部アナログ放送を終了

サルデーニャ州とともに「地上デジタルパイロット州」に指定され,フランスと国境を接するヴァッレダオスタ州では,4月15日,州都アオスタを含む17の市町村でRai2とRete4がアナログ放送を終了した。今回の対象地域には同州の人口の約半数にあたる6万人以上が居住している。同州では2008年 10月1日に全地域でデジタル放送へ完全移行される予定。