放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

インド,国内でのFashion TV放送を禁止

インド政府(情報放送省)は,3月29日,国際衛星チャンネルFashion TVが「ケーブルテレビ・ネットワーク規制法」に抵触する内容の放送を行ったとし,4月1日から2か月間,国内での同チャンネルの放送を禁止した。 Midnight Hotという番組でモデルが肌を過度に露出したことが問題とされた。これで今年に入り,公序良俗に反するとして放送禁止命令を受けた外国チャンネルは,Sony系列のアクション・チャンネルAXNに続き2つとなった。現在,インド政府は国会へ「放送法」案を提出する準備を進めており,アダルト・チャンネルについては規制強化の姿勢を示している。

ネパール,情報通信相にマオイストが就任

4月1 日に発足した,主要7政党と共産党毛沢東主義派(マオイスト)による暫定内閣で,放送を所管する情報通信相にマオイストのクリシュナ・バハドゥル・マハラ(Krishna Bahadur Mahara)氏が就任した。メディアの民主化・自由化をどう進めるか,同派の傘下にあった5つの非合法FM局を今後どう扱うかなどが当面の課題となる。また,マオイストはメディアへの外資導入反対を主張してきており,今後の対応が注目される。

タイ,TITVが公共放送局に転換へ

タイ暫定政府は4月24日の閣議で,PRD(総理府広報局)の管轄下で一時的に運営されているテレビ局TITV(旧iTV)を公共放送局に転換する方針を決定した。旧iTV は1996年,タイ初の商業テレビ局としてスタート。今年3月,経営不振による事業権料の支払い不履行などを理由に政府からテレビ放送事業権を剥奪され,その後PRDの下でTITV と名前を変えて放送を続けている。

政府はTITV の今後の運営について,民間企業の介入を避けるためCMを禁止し,国民からの寄付,タイ健康増進財団や教育省からの支援で予算を賄うとしているが,公共放送局転換への具体的な方法やプロセスについては現在検討中である。

民営化する台湾テレビの株式を公開入札

陳水扁政権による「党・政・軍のメディア撤退」政策に基づいて民営化されることになった台湾テレビについて,政府持ち株の約半数にあたる25.77%分の一般公開入札が4月11日行われ,ケーブルテレビ向け衛星放送事業者の『非凡』が一株24.1元(約85円)で落札した。台湾テレビは,政府系銀行から派遣された現職の頼国洲会長がひそかに日本企業の所有する台湾テレビ株を買い集めていたとして行政院(内閣)から解任されたが,非凡と提携する頼氏は今回の落札成功で株式全体の45%以上を押さえ,経営に復帰すると見られている。政府系持ち株は今後残りの21%余りを一般市民や台湾テレビの従業員に売り出す予定である。

香港ATV,不動産企業グループが株式の50%所有へ

香港の地上テレビ局ATVは4月4日, 不動産や金融事業を手がける名力集団(Mingli Corporation)に株式の50%を所有してもらうことで合意したと発表した。名力は香港行政会議のメンバーの史美倫(Laura Cha Shih May-lung)女史の夫の懋聲(Payson Cha Mou-sing)氏が経営する企業グループで,メディア事業経営の経験はないが,これまで地上テレビ局最大手TVBの経営に長く携わってきたLouis Page氏から運営への協力を取り付けている。ATVはTVBと比べ株式の時価総額で5分の1以下と大きく差をつけられており,2007年下半期から始まる地上デジタル放送に向けて資金面での後ろ盾を必要としていた。

韓国放送委員会,京仁TVに許可推薦状交付

放送委員会は4月12日,京仁地域(京畿道と仁川地区)を放送エリアとする京仁TV コンソーシアムに対し,地上放送の許可推薦状を交付した。これにより2004年12月,旧京仁放送(iTV)に対する放送委員会の再許可推薦拒否で始まった2年以上に及ぶ停波の事態が解決される見通しとなった。なお,京仁TV コンソーシアムは許可推薦状の交付を受け,11月1日の開局を目標に本格的な準備作業に取りかかることになった。