放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米グーグル,テレビ広告事業に進出

米グーグル社は4月3日,衛星放送のエコースターと提携してテレビ広告の販売仲介事業に乗り出すと発表した。これはグーグルがこれまでインターネットで蓄積してきた自動広告のノウハウを活用してテレビ広告販売や広告視聴率の計測などを行うというもの。セットトップボックスのログ解析によって,広告視聴者数を測定し,その広告の料金を決定する。エコースターの契約者は約1,300万人で,グーグルは今回の提携を足掛かりに,今後この事業を本格展開したい考えだ。

米ディスカバリー,環境保護チャンネルを開設へ

米ディスカバリーコミュニケーションズ社は4月5日,環境保護や環境に優しいライフスタイルをテーマにした初の24時間放送チャンネルを来年からスタートすると発表した。新チャンネルは全米5,000万世帯に配信される予定で,環境保護に役立つデザインや,有機食品,環境に優しい建築などの情報を取り上げる。地球規模で環境保護が問題になる中,環境に関するテーマを扱うことで視聴者からの支持を得るねらいがあると見られている。

米ニールセン,家庭外のTV視聴率計測を開始へ

視聴率調査のニールセン・メディアリサーチ社は4月12日,会社やホテル,バーや空港など,家庭外でのテレビ視聴率の計測を今年9月から開始すると発表した。これはIMMI(Integrated Media Measurement Inc.)社との提携によるもので,IMMI社の開発した技術を搭載した携帯電話を4,700人のモニターに無料で配付する。この携帯電話が自動的にテレビ放送の音を認識,IMMI社のサーバーと無線交信して,データを集める仕組み。米テレビ業界では,ここ数年,家庭外でのテレビ視聴や,DVR(デジタル録画機)を用いた時差視聴などの視聴率測定への要望が高まっていた。

NABレア会長,ケーブル業界を強く批判

NAB(全米放送事業者協会)のデヴィッド・レア会長は4月16 日,NAB の年次大会で基調演説を行い,地上デジタル放送の多チャンネルサービスの再送信に反対するケーブルテレビ業界を強く批判,NAB からの議会への働きかけを強めていくと表明した。ケーブルテレビによる多チャンネルの再送信については,デジタルかアナログどちらかの主要1チャンネルの再送信だけが義務づけられており,レア会長はこれについて「地上放送事業者が提供する様々なコンテンツを消費者から奪う行為」だと強く批判,再送信の立法化に業界を挙げて取り組んでいくと主張した。

米大手メディア企業3社,動画配信で提携

米メディア企業大手のニューズ社,地上ネットワークのNBCU(NBC Universal),ケーブルテレビのコムキャストの3社は4月16日,オンライン配信に関する包括的な提携を結んだと発表した。提携の主な内容は,ニューズ社とNBCUの動画コンテンツをコムキャストのサイトから配信する,今年夏にニューズ社とNBCUが立ち上げる動画配信サイトにコムキャストも参加するといったもの。同サイトは,今年3月に計画が発表され,両者のテレビ番組,映画などがAOL,マイクロソフト社のMSN,ヤフーなどのサイトでも視聴可能になる予定で,グーグル傘下の動画配信サイト,YouTubeに対抗する動きと受け止められている。

NBCU,NABへ復帰

米NBCUは4月16日,NAB(全米放送事業者協会)へ復帰すると発表した。またスペイン語放送のネットワークであるTELEMUNDOも18日に復帰を発表した。NBCUは規制緩和政策への対応を巡ってNABと対立し,2000年3月に脱退。またTELEMUNDOはNBCUの傘下に入った2002年に脱退していた。NABでは直営局を拡大しようとするネットワークと,系列局・独立局などローカル局との間で対立が続き,相次いでネットワークが脱退していたが,2005年のABCの復帰に続く今回のNBCU等の復帰で,NABとネットワークの関係は今後,好転していくものと見られる。