放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英SKY,地上デジタル放送で有料サービス開始へ

イギリスの衛星デジタル放送事業者のBSkyBは2月8 日,2007年夏に地上デジタルテレビ放送で有料サービスを開始すると発表した。現在地上デジタル放送はFreeviewという名称で無料放送により普及促進が図られている。BSkyBは,Freeviewで提供している無料サービスの一部をスポーツや映画,娯楽などを中心とした有料サービスに切り替えるとともに,チャンネル数を増やすため画像圧縮方式をMPEG-2からMPEG-4に変更する予定である。イギリスの放送と通信分野を所管する Ofcom(Office of Communications)は,BSkyBの計画にはOfcomの承認が必要であると発表している。

仏ARTE France,政府と目標手段契約に調印

独仏文化チャンネルARTE のフランス側の機関であるARTE Franceは3月5日,政府と目標手段契約に調印した。契約は2007年から2011年までの予算と事業の大枠を定めるもので,ARTE Franceは「ARTE Global」計画を推進する。この計画により,ARTE は地上デジタル放送,HDTV 放送,携帯受信向け放送のほか,ADSL,VOD, DVD,インターネットなどすべての手段で視聴 者に番組を提供する。なお,France Televisionsも政府と目標手段契約にほぼ合意しており,近く 調印する見込み。今年9月に放送開始が予定されるHDTV放送の経費は,2008年から3年間に総額で2,100万ユーロを見込んでいる。

伊,サルデーニャ州南部で一部アナログ放送を終了

イタリアで「地上デジタルパイロット州」に指定されているサルデーニャ州では,3月1日,州都カッリャリ市を含む南部123の市町村で,RAI2と Rete4がアナログ放送を終了した。今回対象となった地域には,同州の全人口の3分の1にあたる約56万人が居住している。同州では受信料を支払っている居住者に対し,2月19日から政府による1世帯あたり70ユーロ(約1万1,000円)のSTB購入助成が再開された。同州では2008年3月1日に全地域でアナログ放送が終了する予定。

伊,RAIがT-DMBデジタルラジオを試験放送

イタリアの公共放送RAI は2月1日, 韓国で採用されているT-DMB 方式によるデジタルラジオの試験放送を国内数か所で開始した。今回の試験は,技術的特性と市場の反応を確かめるために6か月間行われる。またRAI は2月15日,放送設備の運用と管理を行う子会社Rai Wayと韓国の非営利研究機関ETRI(Electronics and Telecommunications Research Institute)との間で,イタリア国内で同技術による試験放送を展開するために協力することで合意したと発表した。

独,放送州間協定第9次改正が発効

ドイツ各州放送法の共通原則と位置づけられる「放送州間協定」の第9次改正法が,すべての州議会で承認され,3月1日に施行された。最大の改正点は,放送と通信の中間サービスを総称する概念として新たに定義される「テレメディア」のコンテンツ面についての規制が盛りこまれ,協定の名称も「放送とテレメディアについての州間協定」となったこと。さらに放送とテレメディアに関する統一的なデータ保護規定と監督制度が設けられた。今回の改正は,同時に施行された連邦のテレメディア法に対応したもの。

独有料放送PremiereとArena,提携強化

ドイツの2大有料放送事業者PremiereとArena は2月8日,提携強化で合意したと発表した。これにより,Arena はPremiereの株式16.7%を取得する一方,PremiereはArena のサッカー・ブンデスリーガチャンネルの衛星配信権を獲得し,さらにArena の衛星プラットホームの営業・サービス・管理に関する技術的業務をすべて請け負う。提携の背景として,Arena はブンデスリーガの独占放送権を持つがプラットホーム技術と顧客管理体制が不十分であり,一方Premiereはブンデスリーガ放送権の獲得失敗による解約者増の流れを食い止めるためキラーコンテンツを必要としたという事情がある。中期的には,衛星有料放送プラットホームは合併し,Arena はPremiereの番組提供事業者という位置づけになるとみられている。