放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

3大ネット,06年のトップニュースはイラク関連

米放送業界の専門誌『Broadcasting & Cable』は1月1日,3大ネットワーク(CBS,NBC,ABC)の夕方のメインニュースが2006年に伝えたニュース項目トップ10のデータを発表した。これによると,1位は「イラク戦争関連」で合計1,122分であった。2位は「イスラエル・レバノン紛争」で同578分となっており,「イラク戦争関連」ニュースが群を抜いていた。ネットワーク別ではCBSが394時間と最も「イラク戦争関連」ニュースを報じていた。また,トップ10にはこの他にも原油価格問題や北朝鮮核問題など,海外ニュースが数多く含まれていたことも06年の特徴である。

ベライゾン,携帯向け放送サービス開始へ

米携帯キャリア大手のベライゾンワイヤレスは1月7日,携帯端末向けテレビサービスを2007年第1四半期から開始すると発表した。「Vキャスト」と呼ばれる動画配信サービスの一環として開始されるもので,NBC,MTV,Nickelodeon,CBS,FOXなど7チャンネルの放送が既に決まっており,順次拡大される予定である。技術サポートとコンテンツ管理は米クアルコム社の子会社MediaFLOが行う。同サービスに対応する機種は2機種で,視聴料金や端末の価格などは未発表。ベライゾンワイヤレスの契約者は07年1月現在,5,700万人である。

HDテレビ,普及の鍵はスポーツファン

全米家電協会(CEA)は1月9日,スポーツファンの半数がスポーツイベント中継の視聴を目的にHD対応テレビを購入しているという調査結果を発表した。調査は2006年11~12月に実施されたもので,スーパーボウル,NBAファイナル,カレッジボール等の中継の視聴が購入の大きな動機となっており,HD対応テレビの所有者のおよそ60%はスポーツファンであることが分かった。CEAによれば,06年1年間でHD対応テレビは1,350万台出荷され,07年には1,600万台の出荷が予測されている。

米アップル社,「Apple TV」の発売を発表

アップル社は1月10日,パソコン内の動画コンテンツや音楽をテレビモニターで視聴することのできるセットトップボックス機器「Apple TV」を発表した。2月に出荷開始の予定で,価格は299ドル(3万6,800円)。「Apple TV」は40GBのハードディスクを内蔵し,動画・音楽コンテンツのオンライン販売サイト「iTunes Store」からダウンロードした動画を最大50時間,音楽で最大9,000曲を保存でき,有線または無線LANでテレビモニターと接続,HD画像での出力が可能である。同社によれば,「iTunes Store」でのテレビ番組の販売本数はこれまでに5,000万本を超えている。

ブロードバンドが広告を変える(ニールセン調査)

米ニールセンメディアリサーチ社は1月24日,“Whatever, Whenever, Wherever(=「何でも,いつでも,どこでも」)”と題した報告書を発表,ブロードバンドの普及が従来の広告のあり方を劇的に変えつつあると指摘した。同報告書は,インターネットの非利用世帯では69%が高卒かそれ以下の学歴であるのに対し,ブロードバンド利用世帯では33%であること,また年収 100万ドル(約1,200万円)以上の世帯の割合が全米平均の17%に対しブロードバンド利用世帯では28%と大きく上回っている点などを挙げ,ブロードバンドは,単にテレビ番組のリーチを拡大するだけでなく,富裕層や高学歴層に効果的にアピールする優れた広告媒体となっていると指摘している。

米ブロードバンド,6,400万回線を超える

米FCC(連邦通信委員会)は1月31日,国内の高速インターネット接続(200kbs以上)の状況に関する報告書を発表した。これによるとアメリカ国内の高速インターネット回線は06年上半期だけで26%増加し,6,460万回線を超えた。このうち一般住民による利用は5,030万回線である。高速インターネット接続回線の内訳は,ケーブルモデムが55.2%,ADSLが40.1%で,光ファイバーはエンドユーザーレベルでは0.9%に留まっている。特に増加が顕著なのはADSL で,06年上半期だけで310万回線増加した。