放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米TiVo ,ブロードバンド動画受信サービス開始

アメリカのDVR( デジタル録画機)大手のTiVoは6月7日,自社のDVRでブロードバンド上の動画コンテンツも受信・視聴できるサービスを7月に開始すると発表した。「TiVoCast」と名づけられた同サービスでは,NBA(全米プロバスケットボール協会)やニューヨークタイムズ等がネット上に提供している動画コンテンツなどをダウンロードして視聴することができる。利用には,ブロードバンド接続環境で,かつTiVo社製のDVR「Series2」を使うことが条件だが,利用は無料である。

「iチューンズ」でCBSの人気番組も販売開始

米アップルコンピュータ社は6月8日,同社のインターネット上の楽曲・動画コンテンツ販売サービス「iチューンズ」でCBSのプライムタイム番組の販売を開始した。販売されるのは,『CSI: 科学捜査班』や『Survivor』といった人気番組で,1本1.99ドル。CBSは全米男子学生バスケットボールの試合中継を販売したことがあるが,プライムタイム番組は今回が初めてである。「iチューンズ」は現在,ABCやFOXなど他のネットワークの番組も含め100以上の番組の販売を行っており,これまでに延べ3,000万本の売上を記録している。

米ニールセン,テレビ視聴率の調査方法見直しへ

ニールセン・メディア・リサーチ社は6月14日,テレビ視聴率の調査方法を大幅に見直す計画を発表した。同社は現在,全米60の大都市での電子計測器による測定に加え,150都市ではアンケート方式による調査を行っているが,2011年までにアンケート方式を撤廃,インターネット上での新しい視聴率測定方式を導入する。またホテルやバー,空港などでの視聴率も測定する。アメリカの放送業界では,各ネットワーク等によるインターネットへの番組配信やiPodなどの携帯端末向けの番組販売が急速に進んでいる。今回の計画はこうした変化に対応し,現在は見過ごされている視聴者数も測定することが目指されている。

「下品な」放送番組に対する罰金10倍に

「下品な」放送番組に対する罰金10倍に「下品な」放送番組に対する罰金をこれまでの10倍に引き上げる法律「放送品位維持法」(Broadcast Decency Enforcement Act)が,6月15日,ブッシュ大統領が署名して発効した。この法律は2004年2月,CBSが放送したスーパーボウルのハーフタイムショーで,歌手のジャネット・ジャクソンの右胸が露出した事件のあと,下品な放送番組に対する規制の強化を求める声が強まったことを背景に,上院が今年5月に,また,下院が6月に可決し成立させた。この時期に議会とブッシュ大統領がこの法案・法律を可決・発効させたのは,11月に行われる中間選挙で保守派の支持を得るため,と見られている。

ブロードバンド利用率が7割以上に

アメリカでインターネットを日常的に使っている人のうち,ブロードバンド利用者の割合が70% を超えているという調査結果が出された。インターネットの利用状況などに関する調査を行っているニールセン・ネットレイティングス社が6月21日に発表したもので,これによると,ブロードバンド利用者の割合は,去年5月の57%から今年5月の72%へと15%も拡大し,逆にナローバンドの利用者は同43%から28%へと減少した。これにより,米国のブロードバンド利用者は約1億 250万世帯となっている。

ブラジル,地デジ規格で日本方式を基礎に

ブラジルが地上デジタル放送に日本方式(ISDB-T)を基礎とした規格を採用することを決定,6月29日ブラジル訪問中の竹中総務相が同国政府と正式合意し,文書に調印した。地上デジタル放送の方式には日米欧の三方式があるが,日本方式を基礎とする規格が海外で採用されたのはこれが初めて。他のメルコスル(南米南部共同市場)加盟諸国などでも追随する動きが出ると見られる。両国政府は今後に向け共同作業部会の設置,技術開発,人材育成などで協力することで合意した。