放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

テレビ視聴時間に迫るインターネット利用

アメリカの調査会社Jupiter Research社は,1月 30日,「アメリカにおける娯楽とメディア利用に関する消費者動向調査」の結果を発表した。それによると,インターネットユーザーの間では,週あたりのインターネット利用時間がテレビ視聴時間とほぼ同じ14時間に達し,新聞や雑誌の講読時間を上回っている。分析を担当したアナリストのバリー・パー氏は,「テレビと新聞は,オンライン配信に本腰を入れなければ,多くの利用者を世代ごと失う危険性に直面している」と指摘している。

CBSが人気番組を自社サイトで有料配信

アメリカのCBSは,2月2日から人気番組『サバイバー』の自社サイトからのオンライン有料配信を始めた。視聴者は1回1.99ドルでパソコンなどに直接ダウンロードし,ダウンロード後24時間以内であればいつでも視聴できる。NBCやABC は,人気番組をアップル社の携帯型デジタルプレーヤー「iPod」を通じて配信しているが,自社のサイトから直接番組を提供するサービスは,今回のCBS が初めてである。CBSのレスリー・ムーンベス社長は「コンテンツを可能な限り幅広く露出させることが我々の戦略だ」として,オンライン配信戦略を強化する方針である。

米アナログ停波期限が2009年2月17日に確定

2 月8日,ブッシュ大統領が,地上放送のアナログ波を終了する期限を,2009年2月17日にすることなどを定めた歳出予算案に署名し,アナログ停波の期限が最終的に確定した。同法案には,アナログ停波でテレビが見られなくなる家庭をなくすため,デジタル波をアナログテレビ用に変換するコンバーター購入への補助金として総額15億ドル(約1,746億円)が盛り込まれている。同法案は,昨年12月にいったん下院で可決されたが,上院による部分的な修正を経て,2月1日に再度下院で可決され,ホワイトハウスに送られていた。

FCC報告書,ケーブルTVのアラカルト方式を推奨

アメリカの FCC(連邦通信委員会)は2月9日,ケーブルテレビのチャンネルを現在のパッケージ方式で視聴するよりも,好きなチャンネルだけ選んで視聴するアラカルト方式のほうが,3%~ 13% 程度も視聴料金が安くなる場合があるとする報告書を発表した。アラカルト方式が可能になれば,20チャンネルまでの視聴では視聴料金が安くなるという今回の内容は,FCCが2004年11月に議会に提出した報告書と矛盾するものであるが,アラカルト方式に反対するケーブル業界に対し,同方式の導入を求める議会の働きかけが活発化する可能性がある。

地デジ放送周波数利用の映画配信,本格展開へ

アメリカのウォルト・ディズニーによる,地上デジタル波の帯域を使ったオンデマンド型映画配信サービス「ムービービーム」が,2月14日から本格展開を始めた。同サービスは,2003年に試験サービスを始め,一端中断していたが,今年1月に「ムービービーム」を別会社とし,シスコ・システムズなど数社が資本参加して,ニューヨーク,ロサンゼルスなど29都市で配信が始まった。専用のセットトップボックスで受信,新作映画は3.99ドル,旧作は1.99ドルで購入し,24時間以内であればどこからでもビデオのように視聴が可能。

冬季五輪情報サイトへのアクセス数増加

アメリカの調査会社ニールセン・ネットレイティングス社は2月17日,NBCの五輪情報関連インターネットサイトへのアクセスが,2月12日までの1週間で230万件を超えたと発表した。これは人気番組『アメリカンアイドル』の同期間のアクセス数51万件を大きく上回り,4年前のソルトレーク五輪の時に比べると55%の増加だという。NBC はトリノ五輪の独占放送権を持っているが,中継などのテレビ視聴率のほうは低調で,FOX の『24』『アメリカンアイドル』,ABCの『デスパレートな妻たち』などの人気番組に押され気味の状況となっている。