放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.02.01中国政府,記者証管理規則などを公布

中国国務院の新聞出版総署は,3月1日から国内メディアの記者を対象とした「新聞記者証管理規則」を施行することをこのほど明らかにした。規則によると,ラジオ・テレビの記者を含め新聞記者証は新聞出版総署が統一して発行し,他のいかなる組織も新聞記者証を作ったり模造したりしてはならないとしている。また,記者証を,広告を集めるなど企業経営に関わる活動や記者としての職業道徳に反する活動などに使ってはならないと記している。さらに規則では,取材を受ける者は「全国新聞記者証管理ネットワーク」を通じて記者証が本物であるか確認できる他,記者の違法行為を告発することもできるとしている。中国には現在,ラジオ・テレビの記者6万人あまりを含め15万人近くの記者がいるが,一部に金銭を受け取って企業のPR記事を書いたり,取材の際に広告の勧誘を行ったりするものがいる。またこうした記者の“特権”にあやかろうとする「ニセ記者」も横行しており,今回の管理規則はこうした事態に対応する狙いがあるものと見られている。

05.02.01上海,携帯電話向け短編テレビドラマの試験放送

上海テレビなどで作るメディアグループ「上海文広集団(SMG)」と上海移動通信は共同で,旧正月の時期に当たる2月6日から15日にかけ,「新年星事」という携帯電話向け短編テレビドラマの試験放送を全国で初めて行った。ドラマは1回が3分間の短編で全10回,およそ2,000人が視聴したとされている。上海で進められている携帯電話向けテレビの試験放送は,現在生放送が6チャンネル,VODの番組が8つあり,ニュース・スポーツ・娯楽などの情報は毎日更新されている。また広州・北京・湖北省でも携帯電話向けテレビの試験放送が始まっている。

05.02.01韓国,KBSが2004年決算で大幅赤字を計上

韓国の基幹的な公共放送局KBS(韓国放送公社)は,2月25日,理事会に638億ウォン(約66億円)の大幅赤字を含む2004年の決算報告を提出した。KBSは,為替危機による深刻な打撃を受けた1998年を除き,2002年には1,000億ウォン以上,2003年には約300億ウォンと黒字決算を続けていた。しかし去年は,番組視聴率はおおむね好調だったものの,経済不況で広告市場が萎縮し経営が悪化していた。理事会はチョン社長ら経営陣に「深刻な懸念」を表明,KBS労組も経営責任を問う構えを見せている。チョン社長は,28日,国会の文化観光委員会で野党の追及に対し,辞任する考えのないことを表明している。

05.02.01韓国,MBC社長に元労組委員長の若手が就任

2月25日,韓国でKBS(韓国放送公社)と肩を並べる有力な放送局MBC(文化放送)の社長に,元労働組合指導者のチェ・ムンスン(崔文洵)氏(49歳)が就任した。労組委員長出身者がMBC社長に就任するのは初めてで,歴代社長の中で最年少の記録も樹立した。

チェ氏は記者としてMBCに入局,MBC労組委員長と全国言論労組初代委員長を経験している。社 長就任前は報道制作局の部長として時事番組を担当していた。

チェ社長は,28日,40代を多数抜てきする異例の局長人事を発表している。

05.02.01タイ,MCOTが新たにラジオ局5局を開設

テレビのチャンネル9やタイ国営通信(TNA)を運営するMCOT(タイ・旧マスコミ公社)は,2月15日,新たにFMラジオ局5局の開局を発表した。 MCOTは国内で62局からなるネットワークを運営しているが,今回開局する5局は,音楽やスポーツ,国際ニュースなど,それぞれに専門分野を担当することになっている。

タイでは,バンコク首都圏を中心に,ラジオ局の間でリスナー獲得の激しい競争が行われている。MCOTの全売上高に対するラジオ事業の割合は現在15%程度だが,MCOTは,独自性を打ち出した新局を開設することでラジオ事業を拡大し,今後数年の間に3割以上の増収を実現したいとしている。

MCOTは,去年8月17日に,政府が全株式を所有する国営企業から,一部株式を公開する株式会社に組織を転換している。