放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.01.01英政府助言パネル,BBC経営委員会廃止を勧告

政府が委嘱したBBCの特許状更新をめぐる助言パネル(通称バーンズ・パネル)は1月27日に最終報告を提出し,現行の経営委員会を廃止し,新たにコミッショナー3人による「公共サービス放送委員会」(PSBC)Public Service Broadcasting Commission)とBBCの会長や外部の有識者で構成される「BBC役員会」(BBC Board)の2つの組織によってBBCを規制監督することを勧告した。PSBCは,イギリス国内の放送通信を規制するOfcomに相当するような規制監督機関であり,BBC役員会は,社外重役と内部の役員で構成される一般企業の取締役会にあたるもので,コーポレート・ガヴァナンスの役割を担う。

05.01.01仏,産業担当相にHDTV導入に関する報告書提出

「フランスにおけるHDTV導入」と題する報告書が1月14日,デヴェジャン仏産業担当相に提出された。これは,地上デジタル放送へのHDTV導入に関して産業省がコンサルタント会社NPA Conseilに委嘱したもので,報告書作成にはCSAや政府機関なども協力した。報告書は,2005年末にはMPEG-4 HD規格のデコーダー発売が可能との見通しの下に,HDTV視聴可能世帯数は2010年に250~300万,2015年には500~1,200万に達すると試算している。また現行の地上デジタル放送の計画を変更せずに,最大7チャンネルのHDTV放送が可能としている。産業担当相は会見で,HDTV導入は望ましいのみならず不可欠と強調した。

05.01.01伊,MediasetとLa7が地上デジタル上でPPV放送を開始

イタリア地上商業放送大手のMediasetとLa7は,1月22日,地上デジタルテレビ放送の新チャンネルで,国内サッカー1部リーグ・セリエAの PPV(ペイ・パー・ビュー)生放送を開始した。料金は1試合あたり,Mediasetは3ユーロ,La7は4月3日までは2ユーロとなっており,プリペイドカードで決済する。放送初日までに,両社合わせて約30~40万枚のカードを売り上げたといわれる。人気の高いセリエAの生放送は,2003年以来,有料衛星テレビSky Italiaが独占的に放送してきたが,その後,ブロードバンドでもPPVが始まるなど,視聴手段は多様化している。

05.01.01独ブンデスリーガの放送権販売方針をEU委が承認

ドイツのプロサッカーチームの団体ブンデスリーガ協会は,2005年1月から2009年6月までの1部および2部の試合の放送権の販売の方針に関して,1 月19日,EU委員会の承認を得た。この方針は,公開・透明・非差別というEU競争法の原則を反映したもの。これにより,協会販売の放送権は,テレビ,インターネット,携帯端末向け,生中継,時差放送,ダイジェストなど9種に小分けされ,それぞれ契約期間3年以内となる。ただしインターネットによる生中継が始まるのは,2006年7月から。また従来は放送権の販売ができなかった協会所属の各クラブも,限定的な形で放送権の販売ができるようになった。

05.01.01オーストリア,初の全国放送の商業ラジオが誕生

ウィーンの商業ラジオ放送事業者,クローネヒット・ラジオ社KRONEHIT Radio BetriebsgmbHは,2004年12月6日,ラジオの全国放送の免許を取得し,オーストリアで初の全国放送の商業ラジオが誕生した。同社はこれまで,13の州域およびローカル商業ラジオ事業者と提携して番組ネットワークを形成していたが,2004年7月の商業ラジオ法改正により全国放送が認められたため,今回業務再編したもの。

05.01.01欧州評議会が反論権で勧告

ヨーロッパ46か国が加盟する欧州評議会は,マスメディアが不正確な情報を伝えた際に利害関係者に認められた反論権をインターネットなどオンラインによる情報提供サービスにも拡大すべきだとする勧告を12月17日に加盟国政府にあて採択した。欧州評議会は,ラジオ,テレビ,プレスについては,反論権を認めるよう既に各国に求めているが,今回の勧告は,対象メディアをオンラインによる情報提供サービスにも拡大した。オンラインメディアは迅速な修正や反論の添付やリンクが容易で,争点の理解に役立つと期待されている。