放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

04.12.01英下院メディア常任委員会,受信許可料を当面支持

イギリス下院の文化メディアスポーツ常任委員会は12月16日,「公共的であるBBC(A public BBC)」という報告書を公表した。報告書は,BBCの財源として受信許可料を次善の策として維持すべきであり,受信許可料収入はBBC以外の事業者に配分されるべきではない,などBBCの将来に関し多方面の勧告を行った。この中で委員会は,経営委員会の制度的な見直し,BBCの基本法規を特許状ではなく議会法にすべきこと,次期特許状の有効期間を5年間に短縮し,BBCのあり方に関する国内の議論の継続を求めた。

04.12.01仏地上デジタル放送,新たに免許公募を開始

仏規制機関CSAは12月14日,地上デジタル放送の免許公募の開始を決定した。これは10月に行政裁判所の最終審であるコンセイユ・デタ(国務院)が全国向け6チャンネルの免許を取り消したため,新たに6チャンネル分を公募する必要が生じたため。CSAは公式には,無料チャンネルと有料チャンネルの数は未定としているが,無料チャンネルの数を多くする意向である。応募締め切りは今年の2月18日,受理した候補者リストの公表は4月19日,免許交付は5月 17日の予定。

04.12.01伊の地上デジタルSTB助成金,05年度は1世帯70ユーロ

イタリア政府は2004年度から,地上デジタル放送の普及支援策として,双方向サービス対応型STB(セット・トップ・ボックス)の購入およびレンタル時に助成金を出してきたが,2005年度も前年と同額の,総額1億1,000万ユーロを政府予算に計上した。これは2004年11月17日に下院が決定したもので,STBの市場価格が下落していることと,より多くの世帯への普及を目指すことから,新年度は助成額を1世帯あたり70ユーロに減額し,約160万世帯に助成を行う予定。

04.12.01伊,公共放送RAIの2005年度受信料は据え置き

イタリアのガスパーリ通信相は2004年12月20日,公共放送RAIの2005年度受信料を,2004年度と同額の年額99.60ユーロとすると発表した。公共放送の受信料は例年,政府の予想インフレ率を考慮して値上げされてきたが,受信料据え置きについて通信相は,「RAIの良好な経営状態を反映するもので,インフレによる調整を行わないことで消費者に負担を強いなくて住む」と説明した。

04.12.01独連邦議会,ラジオの自国音楽比率に関する決議を採択

連邦議会は12月17日,公共放送と商業放送が自主的に,ラジオの音楽番組全体の35%前後をドイツ語または国内制作のロック・ポップ音楽とし,さらにその半分を若手音楽家の新作とすることが望ましい,とする決議を採択した。放送事業は州の所管であるため,連邦議会決議には法的拘束力はないが,公共放送と商業放送は,放送の自由の侵害だとして,この決議に反対を表明している。ロック・ポップ音楽関係者は,昨年秋から,自国音楽比率義務の導入を求める運動を行っていた。

04.12.01独ARD新会長にバイエルン放送協会のグルーバー会長

公共放送ARDの会長を,2005年1月から加盟局のバイエルン放送協会(BR)のグルーバー会長が務める。州放送協会9局の連合体であるARDは,加盟局が輪番制で幹事局を務め,幹事局の会長がARD会長を兼務する。任期は1年だが,通常は1年再任される。これまでの2年間は,北ドイツ放送(NDR)のプローク会長が務めていた。幹事協会の主な任務は,各州共通の第1テレビの番組制作の各州放送協会への割り当てや受信料収入の配分など。

04.12.01新EU委員,ブロードバンドの普及に期待

2004年11月に新たに発足したEU(欧州連合)委員会で情報社会・メディア政策に責任を持つ委員に就任したレディング委員は,12月7日に行った講演のなかで,EU域内におけるブロードバンドの一般家庭普及を2010年までに50%にするという目標を示した。同委員は,ブロードバンドの普及には使い易さ,安全性,手軽な価格に加えて斬新なサービスや興味を引くコンテンツの提供が不可欠であり,このためにスポーツ,音楽,映画,ゲームによって,需要を刺激する必要があると述べた。