ABUアシガバート総会からの報告

~デジタル時代の「多様化」に放送はどう向き合うか~

公開:2019年1月1日

毎年秋に行われるアジア太平洋放送連合(Asia-Pacific Broadcasting Union、以降ABU)の総会と関連会議には、加盟放送局のトップや各部門の責任者が顔をそろえ、その年のテーマに沿って討論会や報告が行われる。中央アジアのトルクメニスタンの首都アシガバートで開かれたことしの総会には、約50の国と地域から500人近くが参加し、視聴者の世代や価値観といった違いだけでなく、次々と台頭してくる新しいメディアの「多様化」に放送はどう向き合っていくのかをテーマに議論が行われた。デジタル技術を駆使した斬新な取り組みについて報告が行われる一方、ABUのネットワークを生かしてアジア各国で制作された番組やノウハウを共有する共同制作などにも高い関心が寄せられていた。今回の総会でABUの新しい会長に選ばれたNHKの上田良一会長は「インターネットの普及を契機に新しいメディアが台頭し、新たなライバルになると同時に、我々と視聴者をつなぐ新たなパートナーにもなっている。放送メディアはこの環境変化に適応し、進化しなければ生き残れない」と述べた。来年のABU総会はNHKがホストとなり、11月に東京で開催される。多様なメディアからの情報があふれるデジタル時代に、公共メディアが果たすべき役割や使命についても今後、さらに議論を深めていく必要があると感じた。

メディア研究部 吉村寿郎

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