香港の「報道の自由」に高まる危機感

~中国返還から20年で進む"萎縮"~

公開:2017年12月1日

香港が中国に返還されてから20年が経過したが、この間に香港の「報道の自由」がじわじわと浸食されているとの懸念が高まっている。本稿では、2017年9月中旬に1週間実施した現地調査も踏まえ、過去20年間に起きた香港の「報道の自由」に関わる事案の数々を紹介するとともに、個別のメディアとして香港最大の商業局であるTVBと公共放送のRTHKの2局を取り上げ、より詳細に見ていく。さらに最近既存メディアに代わって急速に普及しているネットメディアの現状に触れ、それが香港の報道の自由にどこまで貢献しうるかを考察する。

結論的には、テレビや新聞などの既存メディアに関しては、中国政府とその意向を反映した香港政府や経済界による、政治的・経済的な「圧力」の影響が次第に顕在化していて、報道の自由の“萎縮”が進んでいると思われ、特に商業局のTVBではその傾向が顕著である。公共放送のRTHKに関しては、組合や現場の職員の間にこうした風潮に抵抗する意識が強く、圧力を押し戻す事例も少なくなかったが、予算や人事を通じた間接的な「締め付け」で次第に「大人しい」状態になりつつあるのも否めない。一方、既存メディアの“萎縮”と反比例するようにネットメディアは続々と誕生しているが、既存メディアと比べると記者の数など規模の小ささは歴然としており、その影響力は上がってきたとはいえまだ極めて限定的である。こうした中で、香港のネットメディアが「報道の自由」の維持のためにどこまで貢献できるか、その今後には目が離せない。

メディア研究部 山田賢一

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