「タブーがなく、客観的な時事討論番組」を目指す

~台湾公共テレビ『有話好説』の挑戦~

公開:2016年4月1日

台湾ではここ数年、「時事討論番組」が花盛りである。ただ、2300万人の人口に対し300を超すチャンネルがひしめきあう台湾では、商業局の時事討論番組は、特定の政治的立場から強引に結論を導くことで、党派性の強い忠実な視聴者を一定数確保しようとする傾向があると指摘されている。また、中国の問題を取り上げても視聴率が上がらないことや、中国に対して自局のテレビドラマを売りたいとの思惑などから、中国に対して批判的な番組がほとんど見られないのも事実である。こうした中、公共テレビの『有話好説』は、「タブーを設けない」政治的独立性・批判性と、一方で客観性・公平性を両立した時事討論番組を目指し、予算や人員に大きな制約がある中、8年間にわたって取り組みを続けてきた。この間、国民党政権や中国への批判をためらわない一方、各党派・勢力の声を紹介する上でのバランス確保にも努め、視聴者の意見の紹介コーナーを設けていることを含め、メディア専門家から高い評価を得ている。ただ、原発や慰安婦など日本に関わるテーマの番組の中で、日本の立場を説明する専門家がゲストにおらず、電話での取材も不十分というものが一部見られたのも事実である。今後はこうした国際ニュースをテーマとした番組での専門家の人選を工夫することで、一層客観性・公平性を高めていくことが期待される。

メディア研究部 山田賢一

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