「慶應」か「慶応」か

公開:2018年4月1日

Q
テレビの番組で「慶応大学」と示したところ、「慶應大学」とすべきだという指摘を受けた。「慶応大学」ではいけないのだろうか。
A
当事者である会社や大学では「慶應」と表記していますが、NHKをはじめとして新聞社および通信社では、「常用漢字表」に掲載されており、多くの人にわかりやすい「応」を推奨しています。
NHKの放送では、「常用漢字表」に掲載されている漢字が使われている固有名詞(会社名や学校名の場合)は、一般名詞と同様の扱いで「常用漢字表」に掲載される「通用字体」を使うことを優先させています。

<解説>

「応」は、「常用漢字表」に掲載されており、現在広く用いられている「通用字体」と言われる字体です。一方、「應」は「応」の「旧字体」と言われます。「應」も「応」と同様に「オウ・こたえる」と読み、同じ意味を持つ漢字です。これら2つの漢字は、字体は異なっていても、使う用途や文脈によっては相互に入れ替えが可能な、同じ「字種」の漢字です。

「旧字体」で示されている会社名、学校名の場合、それを「通用字体」に直して放送すると、「間違っている」という指摘を受けることがあります。しかし、前述のとおり同じ字種の漢字の場合、「旧字体」と「通用字体」との間には、読みや意味の違いはなく、「旧字体」のまま出さなければ「間違い」「意味が違ってしまう」ということはありません。

「應」と「応」と同じ関係にあるものに、「龍」と「竜」、「燈」と「灯」、「證」と「証」、などがあります。前に示した漢字が「旧字体」で、後ろに示した漢字が「通用字体」であり、NHKの放送および新聞社・通信社では、後者の字体を使うことを推奨しています。

なお、NHKの放送では、会社名、学校名で使われている「旧字体」を絶対に使わないというわけではありません。さまざまな番組があり、それぞれで判断することもあります。

放送で使う漢字の字体について、第1419回放送用語委員会(2017年12月1日)で話し合い、くわしい内容を『放送研究と調査』2018年3月号にまとめました。あわせてご覧ください。

メディア研究部・放送用語 山下洋子

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