「新年あけましておめでとうございます」は重複表現?

公開:2017年1月1日

Q
お正月の放送で、「新年あけましておめでとうございます」というあいさつをよく耳にしますが、「新年おめでとうございます」か「あけましておめでとうございます」が正しい言い方では?
A
厳密には、「新年」と「あけまして」が重複しているとも言えますが、広く一般に使われているので、誤りとはいえないでしょう。

<解説>

「新年あけましておめでとうございます」については、視聴者の方から、「新年」と「あけまして」が重複しているのではないかという指摘を受けることがあります。また、「新年」があけるのでなく、「旧年」があけるのだから、「新年あけまして・・・」はおかしいと思う人もいるようです。しかし、年始のあいさつの慣用として、広く使われていますし、年が改まったおめでたい気分や様子を強調する表現とも考えられるため、完全な間違いだとは考えていません。

また、こうしたお正月のあいさつについては、「いつ頃まで使えるのか」という質問もよく寄せられます。「松の内(1月7日ごろ)または小正月(1月15日ごろ)まで」(『三省堂国語辞典第七版』)がひとつの目安です。ただ、放送では、通常、その番組の新年最初の放送時の冒頭に、あいさつをするのが普通です。1月になってすぐの番組なら問題はありませんが、新年最初の放送が1月の半ばを過ぎると、ほかの番組がお正月のあいさつを何度もしたあとの状況では、「あけましておめでとう」と言うにはもう遅いと感じる場合もあるでしょう。また、大きな事件や話題が持ち上がると、お正月の雰囲気が一気に飛んでしまうこともあります。番組でお正月のあいさつをするときには、放送全体の状況や世の中の動きを見極めて判断する必要があるでしょう。場合によっては、「あけましておめでとう」を使わずに、「新年最初の放送です。今年もよろしくお願いします」などのあいさつのほうがしっくりくる場合もあります。

メディア研究部・放送用語 滝島雅子

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