「踊る」と「躍る」の使い分け

公開:2016年1月1日

Q
「おどり上がって喜んだ」の「おどる」は、「躍る」でしょうか。「踊る」でしょうか。
A
一般的には、「躍る」を使います。「躍り上がって喜んだ」となります。

<解説>

文化庁の『言葉に関する問答集(総集編)』に、「躍る」と「踊る」の使い分けについての解説があります。それによると、「躍」は、「勢いよく飛びあがること」を意味します。「小躍りして喜ぶ」「馬が躍り上がる」「魚が躍る」「身を躍らせて飛び込む」のように「はねあがる」意味に使われます。また、「胸が躍る」「心臓が躍る」のように、「喜び・驚き・期待・緊張などで、胸がわくわくする・どきどきする、どうきが激しくなる場合などの動き」についても用いられます。一方、「踊」は、「ある決まりに従っておどるおどり」を表します。「舞踊」のように、音楽や歌に合わせて手足や身体を動かし、身振りや手振りをしながらリズムに合わせて動作をする「おどり」についてこの字が使われます。(「ダンスを踊る」「踊り子」「盆踊り」「踊りの名取りになる」)また、人に操られて行動することにも用いられます。(「スパイとして踊らされる」)

以上のことから考えると、ご質問の「おどり上がる」は、「喜んだり驚いたりして飛び跳ねる」という意味ですので、「躍る」を使うのが一般的でしょう。

ちなみに、漢字の「躍」は、「足」と「翟」からなる形声文字です。「翟」は鳥の「きじ」を意味し、「キジのように高く速くおどる意味」を表します。一方、「踊」は、「足」と「甬」からなります。「甬」は「用」と同じで「持ち上げる」を意味し、「足を持ち上げておどる意味」を表します。(『新版漢字林第2版』)漢字の成り立ちを考えると使い分けがより理解できます。

メディア研究部・放送用語 滝島雅子

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