「らへん」?

公開:2015年2月1日

Q
「改札らへんで待っています」という言い方は、おかしいのでしょうか。
A
これは比較的新しい言い方です。かなり浸透しているようですが、違和感を覚える人も決して少なくありません。俗な印象を与えかねない言い方で、特にかしこまった場面や、また相手が目上の人の場合には、意識しておいたほうがよいでしょう。

<解説>

この「らへん」という言い方は、「ここらへん」「どこらへん」などの「らへん」の部分を取り出して、新たに別のことばに付けるようになったものだと考えられます。「ここらへん」は「ここら〔=このあたり〕」に「へん〔=~の場所〕」が連なったものですが、「ここら」もさらに「ここ+ら〔=だいたいそうだということを指し示す〕」のような構成を持っています。これを式のように表すと、
  {(ここ+ら)+へん}
のようになります。これを、
  {ここ+(ら+へん)
と解釈しなおし(こういう現象を「異分析」と呼びます)、「らへん」だけを取り出して、「渋谷らへんで遊ぶ」「まん中らへんにある」などのように場所を表す名詞の後ろに付けるようになったようです。
たとえば、次のような歌詞にも使われています。

「左胸らへんに ズキズキと ジャンクな時限爆弾 仕掛けてあるみたい」

(「ラブレストラン」(2005年)作詞:小竹正人 歌:藤井フミヤ)

ウェブ上で「改札らへんで待っている」という言い方についてアンケートをおこなってみたところ、39歳以下の層では「聞いたことがあるし、おかしいと思わない」という回答が最も多いのに対して、40歳より上の層では「聞いたことはあるが、おかしいと思う」が多く、また「聞いたことがなく、おかしいと思う」も少なくないことがわかりました。

使う場合の注意点は、この文章の最初らへんで述べたので、また読んでみてください。

(NHK放送文化研究所ウェブアンケート、2014年10月~11月実施、664人回答)

メディア研究部・放送用語 塩田雄大

※NHKサイトを離れます