放送研究からメディア研究への多様な展開

ー 「 調査研究文献総目録(1996〜2020年度)」の作成から ー

公開:2022年2月1日

NHK放送文化研究所(文研)は2021年に設立75年を迎えた。文研では,『放送研究と調査』などの研究誌で調査・研究の成果を公表しており,1950年代以降の論文や調査報告等(短信やコラムを含む)の総数は約8,800本に上る。本稿の目的は,研究成果の蓄積を目録の形で提示するとともに,時代の変化に応じて,文研の調査・研究がどのように変化してきたかを示すことにある。
本稿では,研究成果をわかりやすく提示するために,論考を「放送理論」「番組」「放送言語」「視聴者・世論」「世界の放送事情」など12に分類することとし,前半で分類基準などを示した。分類は,1960年代に放送関係の図書を整理するために作成されたものだが,1996年にそれまでの論考を整理した『文研50年のあゆみ』でも12分類を用いていることから,今回も基本的にはそれを踏襲した。
そのうえで,今回,新たに整理した1996年以降の論文や調査報告等,約3,500本について,分類に基づき,研究動向の概要やその変化をまとめた。そこからは,同一形式で継続的な調査を行う一方,予期せぬ出来事に対する機動的な調査を行っていることや,放送の歴史を検証するとともに,メディア環境の変化に対する国内外の最新動向を報告していることなど,放送局の研究機関ならではの特徴が明らかになった。
分類に基づく目録は本稿後半に掲載した。対象は1996年度から2020年度にかけて公表された論文や調査報告,1,900本である(短信やコラムは除いた)。『文研50年のあゆみ』(1996年)の目録と合わせて参照することで,文研の研究の歴史を概観することができる。

メディア研究部 宇治橋祐之/村上聖一
世論調査部 吉田理恵
計画管理部 東山一郎

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