シリーズ 戦争とラジオ〈第2回〉

前線と銃後を結べ

~戦時録音放送を聴く (前編)~

公開:2017年12月1日

日本放送協会は、始めから政府が管掌する組織として設立されたのだから、戦争に協力したのは当然であり、仕方がなかった――。

本シリーズでは、そういう「仕方がなかった史観」を乗り越え、放送現場が政府・逓信省の指導・検閲方針を内面化し、番組に具現化していった過程を描くことを目指す。第2回では、録音放送に焦点を当てる。

日本放送協会が初めて自ら行った録音を放送したのは1936年のことだったが、翌37年には日中戦争が勃発、録音放送は戦争と歩みを共にするように発展していった。そして録音という新しい技術は録音構成(当時の言い方では主題録音)という新しい表現を生んだ。

録音構成は、どのように生まれ、進化していったのだろうか。そして、戦時下の録音構成は何をどのように描いていたのだろうか。

本稿では、1941年に放送された録音番組『病院船』を例に、遺された音源をシーン・レベル、シークエンス・レベルに解体し、そこに隠された制作者の意図を読み解いてゆく。

メディア研究部 大森淳郎

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