シリーズ 戦争とラジオ 〈第1回〉

国策的効果をさらに上げよ

同盟原稿はどう書き換えられていたのか(前編)

公開:2017年8月1日

本シリーズは、「放送の公共性とは何か」という問題意識を基底に置きながら、当事者の証言や新たな史料によって戦時中から占領期にかけてのラジオ放送について検証してゆく。以下3点において新しいものにしたい。
1)日本の放送は、その出発から制度として「政府の管掌」下にあったから、戦争協力はいわば当たり前で仕方がなかったとされてきた。しかし、本シリーズはその「仕方がなかった史観」を乗り越えて、軍・政府の方針を、放送現場が内面化し、ニュース・番組に具現化していった過程を重視する。
2)1945年8月15日に実線を引かず、講和条約までを射程に入れることで、戦前・戦後の連続と非連続を検証する。
3)シリーズの展開と並行して新たな史料発掘を行い、随時、取り込みたい。

第一回は、戦時ラジオ放送におけるニュース編集を取り上げる。自主取材が出来なかった時代、ニュースは同盟通信の配信原稿を「話し言葉」に変換していただけと言われてきたが、遺された史料を詳細に分析すると、より国策に沿うように様々な書き換えが行われていた事実が浮かび上がってくる。

メディア研究部 大森淳郎

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