【放送のオーラル・ヒストリー】

「放送ウーマン」史(3)岡本直美さん(元日本放送労働組合書記長)

~"労働者"と"女性"の視線で見つめた放送界~

公開:2017年6月1日

「放送のオーラル・ヒストリー」のシリーズ、「放送ウーマン」史では、放送という特殊な世界ならではの専門職や、これまであまり語られてこなかった、表舞台には出ない女性たちの証言を元に、放送の歩みを新たに振り返る。第3回は、放送局で働く人たちの労働環境の改善のみならず、放送の自主・自立の確保にも尽くしてきたNHKの労働組合(日放労)の活動に30年以上関わり、女性初の書記長も務めた岡本直美さん。

1975年、「接遇」を希望してNHKの受付からスタート、現場での組合活動を経て、85年、女性初の中央執行委員(専従)に。直前まで所属した厚生部と仕事内容に違和感はなく、組合活動に面白さを見出していく。自ら「組合の原点」と位置づける地域放送局の合理化をめぐる闘争では、小規模の放送局で日常的に放送をサポートし、地道に努力する人たちに光を当てることが組合の存在価値と信じて取り組む。さらに、育児休職など女性職員が働きやすい環境整備にも力を尽くす。93年2月の『NHKスペシャル-ムスタン』問題では、その反省を元に全職場での「総討議」を働きかけ、2004年7月、芸能プロデューサーによる不正支出に端を発した不祥事への対応では、闘争の要求項目に「会長辞任」を加え、書記長自ら異例の会見を行った。翌05年、海老沢会長は辞任し、岡本さんも同年7月、書記長を退任。その後NHK関連団体の組合議長を務め、連合初の女性会長代行にもなった。80年代以降、NHKが辿った歴史を労働者と女性の目線で見つめた、「放送ウーマン」であった。

メディア研究部 広谷鏡子

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