【放送のオーラル・ヒストリー】

「放送ウーマン」史(2)國嶋芳子さん(テレビ美術デザイナー)

~しなやかに「男社会」を駆け抜ける~

公開:2016年7月1日

「放送のオーラル・ヒストリー」のシリーズ、「放送ウーマン」史の第2回は、テレビの成長期から成熟期を駆け抜けたテレビ美術デザイナー、國嶋芳子さんを取り上げる。

母親の影響で「絵画」に興味を持った少女時代、テレビの歌番組を見て、「どんどん世界が繰り広げられていくという魅力を感じ」て、美術セットに興味を持った國嶋さんは、美術大学の芸能デザイン学科に進学、1969年から、朝日放送美術部で、嘱託のデザイナーとして忙しい日々を送ることとなる。視聴者参加のトーク番組を得意としてきた朝日放送で、『ただいま恋愛中』や『プロポーズ大作戦』など、さまざまな人気バラエティー番組のセットを担当。71年、現在まで続く人気番組『新婚さんいらっしゃい!』は、スタートから40年間、全セットをデザインした。公開番組が多かったので、「装置家としたらスケールを楽し」んで、「視聴者」も「観覧客」も満足させるノウハウを極めていく。40歳前、「なんかつまらなくなってしまって」オペラデザインの新人コンクールに応募、最優秀賞受賞を機に、「テレビの仕事がもっと楽しくなった」。「たかが大道具、縁の下の力持ちかもしれない」が、「デザイナーの思いというものがなければ、人の心を動かすことができない」とも語る。嘱託という非正規の立場で外の仕事もできたことが、結果的には彼女のデザイナー人生を幅広いものにした。國嶋さんのポジティブでしなやかな生き方もまた、放送ウーマンの着実な歩みのひとつを物語っている。

メディア研究部 廣谷鏡子

※NHKサイトを離れます

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