野鳥の鳴き声を生放送で全国へ

~戦前のラジオ「生態放送」への取り組み~

公開:2016年4月1日

「生態放送」は、野鳥などの野生動物の鳴き声をラジオで流す20~30分程度の番組で、1933年から放送されるようになった。聴取者の評判も良く、地方局にとっては全国に発信できる有力な番組の一つだったが、1941年ごろまでは録音機が発達していなかったことなどから生放送で行わなければならず、送り手にとっては苦労が絶えないものだった。

全国で初めて「生態放送」を成功させたのは長野局だった。生放送中にうまく鳴くかという関係者の不安の中、1933年6月、無事うぐいすなどの野鳥の鳴き声を全国に届けた。続いて前橋局が、1934年6月に、誰も姿を見たことがないという「仏法僧」と呼ばれる鳥の放送に挑んだが、放送当日に一言も鳴かずに失敗した。1935年6月、今度は名古屋局が「仏法僧」に挑戦して、独自に開発したパラボラ型集音機を活用するなどして見事に成功させた。

名古屋局の成功後、多くの局で「生態放送」が行われるようになり、そのノウハウを共有しようという動きも見られた。また、野鳥などが鳴いている時の実況のアナウンスのあり方についても活発な議論が交わされた。

「生態放送」という言葉は、1960年代以降あまり使われなくなったが、そのノウハウは、生き物の生態などを紹介する現在の「自然番組」に受け継がれている。当時の関係者の手探りの作業は、「自然番組」の原型となり、今なお更新され続けていると言えよう。

メディア研究部 小林利行

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