韓国の検察改革で新しい広報基準,取材制限にメディアが反発

韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領が重要課題に掲げる検察改革の一環として,メディアによる検察取材を規制する新たな広報基準が12月1日,施行された。これに対し韓国新聞協会などは,「言論の自由に反する」と反発している。

新たな広報基準となる「刑事事件の公開禁止に関する規定」は,権限が強すぎると指摘される検察の改革に沿う形で,韓国法務省がまとめた。規定によると,▼検察が容疑者や参考人の容疑,捜査状況などを公表することは原則的に禁止すること,▼検察庁舎内での事件関係者の撮影も全面的に禁止すること,▼出頭時間などの情報がメディアに漏れた場合,呼び出しの日程を変更すること,などが盛り込まれている。

10月末に発表された規定案の段階では,捜査状況に関連して重大な誤報を流した記者が検察庁に出入りすることを禁止する条項も含まれていたが,修正作業の過程で削除された。

この規定をめぐっては,施行前から反発の声が相次いでいた。韓国新聞協会は11月18日に出した声明で,「言論の自由の原則に反するものだ」と批判。検察取材を担当する記者団も,「事実上の言論統制であり,国民の知る権利にも反する」として法務省に抗議していた。

韓国では,検察改革を進めるため法相に起用されたチョ・グク(曺国)氏が,不正投資などの疑惑を受けて10月14日に辞任。チョ氏の疑惑に対する今後の検察捜査で,情報公開が制限される可能性もあるとして,批判の声がさらに強まることが予想される。

鄭榮蘭

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