韓国,地上放送で番組途中のCM解禁へ

韓国の放送通信委員会(KCC)は11月9日,現在は放送法で禁止されている地上放送の番組途中のCM,「中間広告」を解禁する方針を明らかにした。

韓国では1974年の放送法改正で,「視聴する権利」を保護する観点から,地上放送でのCMは番組の前後にしか認められず,スポット広告や字幕広告など,種類ごとに時間や回数も細かく規定されていた。

地上放送各局が安定した財源確保のために中間広告の解禁を繰り返し要望するなか,2015年4月にはKCCが放送広告の全体時間だけを制限し,CMごとの時間や回数は放送局が自主的に決められるよう規制を緩和したが,市民団体などの反対で中間広告は禁止されたままだった。このため2005年まで2兆4,000億ウォン(約2,400億円)前後あった地上放送の広告収入は,中間広告が認められているケーブルテレビや衛星放送などの有料放送に押され,2017年には1兆4,000億ウォン(約1,400億円)にまで落ち込んでいた。

KCCは今回の方針決定について,ケーブルテレビなどとの公正な競争を促す必要性を挙げ,今後,放送法の関連条項の見直しを速やかに進めるとしている。今回の規制緩和には,放送コンテンツの制作力を強化し,韓流文化の拡散にいっそう力を入れるねらいもある。

韓国国内では「中間広告によってドラマなどの流れが途切れてしまう」と反対の声も根強いが,地上放送各局でつくる韓国放送協会は「中間広告で得られる財源を基盤にして,質の高い番組を制作できる環境を整えていきたい」と理解を求めている。

鄭 榮蘭

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