フジテレビ『とくダネ!』の2特集,BPOが放送倫理違反の「意見」

フジテレビの朝の情報番組『とくダネ!』の2件の特集で事実と違う内容が放送されたことについて,BPOの放送倫理検証委員会(以下,検証委)は2月8日,「放送倫理違反があった」とする「意見」を公表した。

『とくダネ!』では,2017年7月27日の放送で,医師法違反の疑いで逮捕された容疑者として,まったく違う男性のインタビュー映像を放送した。その約1か月後の8月28日には,放送時点では書類送検されていなかった京都府議会議員が妻にけがをさせた疑いで「書類送検」され,「ストーカー登録された」という誤った情報を伝え,いずれも翌日の番組で謝罪した。これについて検証委は,十分な裏づけがないまま誤った情報を視聴者に伝えた2つの特集には「放送倫理違反があった」と判断した。

こうしたことが起きた要因と背景について検証委は,①誤りを修正するチャンスが何度もありながら見逃されたこと,②制作スタッフの間で「ほんのわずかな疑問の声」のような連携の力が発揮できなかったこと,③刑事事件の報道,容疑者に関する情報の取り扱いが機微にわたるもので間違いが許されないという意識の希薄化,緊張感の低下,の3点を挙げ,再発防止を訴えている。

意見書では最後に,玉石混交のネットの情報が既存メディアの情報と区別されずに提供される時代にあって,テレビが持つ優位性は情報の正確さと取材の深さにあるとして,「テレビで放送していたからほんとだよ,という視聴者の信頼こそが重要である」と述べている。

塩田幸司

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