総務省,「視聴覚障害者等向け放送に関する研究会」を開始

字幕放送,解説放送,手話放送といった視聴覚障害者等に向けた放送(字幕放送等)については,総務省が行政指針で目標を定めており,2017年度が現行目標の最終年度となる。このため,総務省は2018年度以降の目標策定に向けて9月21日,「視聴覚障害者等向け放送に関する研究会」を設置し,視聴覚障害者や放送事業者,有識者などによる検討を始めた。

現在の目標は,対象となる放送時間・番組を字幕・解説・手話ごとに定めたうえで,NHK,地上系民放等放送事業者の種類それぞれに設定されている。総務省は毎年度,これらの実績を取りまとめて公表しているが,9月20日に発表された2016年度の実績では,対象番組比でNHK総合が,字幕:97.4%,解説:12.7%,手話:0.2%。在京キー5局の平均が,字幕:99.5%,解説:11.7%,手話:0.1%などとなっており,目標策定時からは前進してきている。

一方で,技術上の問題や権利処理等の理由で目標の対象とされない番組が存在することなど,課題も多く残されている。視聴覚障害者にとって放送は,家族等と娯楽などの番組視聴の時間を共有し,生活の質を向上させる重要なツールの1つであり,災害時,放送による情報取得ができるかどうかは,命に関わる問題ともなる。

超高齢社会を迎え,放送が見えにくい,聞こえにくいという情報弱者は,ますます増加することが見込まれている。研究会では,今後,技術の進展状況や現在の課題等を踏まえつつ,新たな普及目標などの検討を行い,12月までに報告書を取りまとめる予定となっている。

山田 潔

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