九州北部豪雨でSNSに救助要請 不用意なハッシュタグで情報"埋没"も

7月5日,九州北部は記録的な豪雨で,福岡県や大分県で大きな被害となった。被害に遭った人たちなどから助けを求める声はTwitterなどのSNSにも投稿された。

Twitterのウェブサイトには,被害に遭った人が電話をかけられない場合,「#救助」というハッシュタグを使って救助要請をする方法が掲載されている。しかし,今回の豪雨で「#救助」から情報を探そうとすると,救助要請と関係ないツイートが並んで,大事な情報が"埋没"する事態になった。

東北大学災害科学国際研究所の佐藤翔輔助教と今村文彦教授が,5日午前0時から7日午後3時の間に「#救助」が使われた1,058件のツイートを分析したところ,被災地からの発信と推定されたのは2%で,残りは被災地の外からなどの緊急性のないツイートだった。また,一部メディアがこのハッシュタグの使用を呼びかけた記事をツイートした際,「#救助」をそのまま使ったため,受けた人が記事を拡散しようとリツイートし,結果として,情報の"埋没"に手を貸す形になっていた。佐藤助教は「被災地の外の人たちのSNSでのマナー向上が課題。メディアも自分たちの影響力の大きさを自覚してほしい」と話す。

「#救助」は,電話も通じない中,被災地からの連絡の「最終手段」として使われる可能性も高い。ふだんは当たり前のようにハッシュタグを使用したりリツイートしたりしているが,災害時には不用意な使用が救助の妨げになることを認識しなければならない。Twitterの「#救助」のページでは,むやみに拡散せず,119番などに連絡を,と呼びかけている。

越智慎司

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