中国,「韓流」を国内番組から締め出しか

中国国内の番組から韓国の芸能人が姿を消すようになり,アメリカの迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」の韓国配備決定に対する中国政府の報復ではないかとの懸念が韓国で広まっている。

香港の『りんご日報』は8月1日,芸能界の消息筋の情報として,最近,中国のメディア行政を管轄するSAPPRFT(国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局)が,韓国人の芸能人をテレビのドラマ,バラエティーなどの番組や広告に出演させないようにとの指示を各放送局に出したと報道した。このニュースを受け,韓国のメディア各社は一斉に,THAADへの報復として,韓流スターが放送出演を禁止されていると伝えた。中韓両国の報道によると,中韓共同制作のドラマで韓国人俳優のシーンが全てカットされたり,共同制作が無期延期されたりする事態も起きている。さらに,8月6日に予定されていたKBSドラマ『むやみに切なく』の主人公による中国ファンミーティングのケースでは,開催の3日前に中国側から「不可抗力的な理由で無期限延期する」との連絡が入ったという。

こうした事態についてSAPPRFTは何もコメントしていないが,中国共産党機関紙『人民日報』系で民族主義的な論調で知られる『環球時報』は,8月10日の社説で,「ここ数年,中韓関係は非常に良好であったが,その理由は韓国が日本のように米国一辺倒ではなかったからだ」と指摘し,米軍のTHAAD配備決定との関連性を示唆した他,同月16日の同紙ネット版では,軍関係者が「韓国に徹底的な懲罰を」とする主張を掲載している。

田中則広

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