放送局の新たな社会貢献に向けて

放送アーカイブ×地域

~地域公共文化施設等での利用ニーズの調査研究~

公開:2022年12月1日

放送局が持つ過去の音声・映像等の蓄積=放送アーカイブで,一般公開されているのはわずかである。これを公共財として,特に地域社会でより広く利活用されることで新たな貢献ができないか。地域の図書館や美術館,博物館など公共的な文化拠点に注目し,放送アーカイブの活用に向けた、現場レベルのニーズや課題の調査を国内で初めて実施した。
事業・企画等でのアーカイブ利用について約66%が「利用したい」と回答し,高いニーズがあることが示された。その理由として,①「映像の魅力」,放送番組のインパクト,正確さへの信頼感,②「施設等にとってのメリット」,企画展等のバリエーションが広がることでの集客向上,③「地域にとってのメリット」,文化継承への貢献や地域での交流、観光・移住促進などの声が浮上した。一方「施設のヒト・モノ・カネをめぐる台所事情」「放送局の対応の不十分さ」「高額な使用料,権利処理の難しさ」などの課題が指摘された。本調査によって,放送アーカイブを通した連携により,施設・地域・放送局ともに公共的価値を高める好循環が形成できる可能性が示された。その実現に向け,放送局の意識改革とアーカイブ運用の改善,特に,文化拠点との意思疎通や素材と企画のマッチング等ができる専門的な人材が求められている。

メディア研究部 大髙 崇/谷 正名/高橋浩一郎

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