NHK連続テレビ小説と視聴者

―"朝ドラ"はどう見られているか―

公開:2020年1月30日

テレビドラマの視聴率が長期的に低落傾向にある中、NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)は好調が続いている。2010年の『ゲゲゲの女房』を起点に視聴率はV字回復とも言える様相を呈している。SNS上で大きな話題になったいわゆる「あまちゃんフィーバー」、今世紀最高視聴率を獲得した『あさが来た』、その後もほとんどの作品が視聴率20%を越えるなど、近年の朝ドラは存在感を増している。「何が朝ドラの好調を支えているのか」を探るべく、『まれ』から『まんぷく』に至る8作品についてWebアンケート調査とグループインタビューを行い、そのうち6作までは「放送研究と調査」に報告した。さらに18年秋には朝ドラの非視聴者も含めたより広範なWebアンケート調査を行い、19年春のシンポジウムで議論した。本稿は以上の朝ドラ研究の総括を中心とする。【歴史編】では、『なつぞら』で朝ドラ100作となるのを機に、可能な限りの正確な資料に基づきこれまでの歴史を振り返る。次に【総論編】では、Webアンケート調査で得られた朝ドラ視聴の実態を報告する。朝ドラを見たことのある人は65%に及ぶが、その中で『ゲゲゲの女房』以来近年の朝ドラ好調に寄与している人は44%であった。続いて、8作品の調査に共通する項目、および朝ドラのイメージについてまとめて提示した。【各論編】では「習慣視聴」「朝ドラの多様性」などについて各テーマを分析した。まず視聴率回復の起点となった『ゲゲゲの女房』の視聴率を分析し、背景に習慣性の活性化があったことを指摘した。習慣はマンネリに陥りかねないが、朝ドラの持つ多様性がそれを防いだのではないかと思われる。「朝ドラらしさ」の比較を通して、作品や視聴層の多様性について考えている。続いて、習慣視聴の実態、および作品をまたいだ継続視聴について分析した。一方、朝ドラ視聴には視聴者の見方の多様性も見られる。朝ドラの見方として「長期視点」と「短期視点」の実態を分析し、加えて「中間派」の実態を詳述した。朝ドラに関するSNS接触者は14%いたが、朝ドラ視聴には積極的な視聴者であることが分かった。最後に、「放送研究と調査」で報告する機会がなかった『半分、青い。』と『まんぷく』の調査結果をまとめた。【シンポジウム編】には、2019年春のシンポジウムの抄録を収録した。

メディア研究部 二瓶 亙/齋藤建作/吉川邦夫/亀村朋子

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