パラリンピック・ストーリー ~東京2020大会に向けて~

【第4回】 子どもたちに夢と可能性を残したい マセソン美季氏(パラリンピアン,IOC・IPC教育委員)

公開:2019年12月1日

マセソン美季氏は、IOC(国際オリンピック委員会)・IPC(国際パラリンピック委員会)の教育委員として、日本の学校におけるパラリンピック教育の普及促進を図っている。パラリンピック教育とは、障害者スポーツを題材にして、他者を尊重しともに生きることを考える力を子どもたちに伝える教育で、マセソン氏は、これが東京2020大会のレガシーだと語る。
マセソン氏は、1998年の長野パラリンピックで4個のメダルを獲得後、アメリカに留学した。障害者が選択肢を消去法で考えなければならない日本を離れ、日本の障害者のロールモデルになることを目指したのである。現在はカナダで家族と暮らすマセソン氏は、多文化共生社会であるカナダでは、障害の有無にかかわらずその人の能力が注目されると言う。
パラリンピック放送でマセソン氏が重要だと指摘するのが、障害者の目線で選手の思いを引き出すリポーターと、競技のパフォーマンスをスタジオでまとめるコメンテーターの役割である。特に、コメンテーターは、障害者スポーツにとどまらず、パラリンピックと共生社会の関係性を視聴者に伝える必要があるとする。
マセソン氏が進めるパラリンピック教育は、「I’mPOSSIBLE(アイムポッシブル)」という教材を利用している。「I'mPOSSIBLE」はIPCの公認教材で、その日本版の開発に携わったマセソン氏は、教師としての経験を生かして教師向けの研修を各地で行っている。マセソン氏が願っているのは、子どもたちが自己肯定感を高めて成長し、社会の変革を担っていくことである。東京2020大会はそのスタートであり、大会後も全国の学校でパラリンピック教育を継続させることによって、日本における共生社会の実現を目指している。

メディア研究部 中村美子/渡辺誓司

※NHKサイトを離れます