"子どもとメディア"をめぐる研究に関する一考察

~2000年以降の研究動向を中心に~

公開:2019年2月1日

"子どもとメディア"はいつの時代にも関心の高いテーマといえるが、本稿ではインターネットの本格的な普及が子どもたちの生活に様々な変化を及ぼしてきた2000年以降に注目して、国内で実施された調査研究動向の整理・分析を試みた。日常生活におけるメディア接触実態に関する調査、メディアの影響を明らかにするパネル調査や実験研究、子どもの学習とメディア利用をめぐる調査研究について、小学生以上対象と乳幼児対象に分けて、多様な調査研究について、具体的に取り上げた。

その結果①スマートフォンやタブレット端末等新しく登場したメディアへの関心が高いこと、②乳幼児を対象とする研究への関心が高まってきたこと、③パネル調査が重視されるようになったこと、④メディア接触の影響を検討する際に、量的側面だけでなく番組やコンテンツの内容・描写といった質的側面への注目が高まったこと、⑤研究成果を授業・保育・保護者の啓蒙等の教育プログラムに反映させる枠組みが意識されるようになってきたこと等を、この時期の"子どもとメディア研究"の特徴として挙げることができた。

1990年代までの課題に応える形で調査研究が進められてきたといえるが、今後のさらなる発展に向けて、研究の枠組みの検討や研究手法の開発、長期にわたる調査研究環境の確保・充実に向けた工夫が必要であり、研究を深めるにあたっては常に"子ども"を捉える視点に考えをめぐらし、多様な分野の研究者との交流と議論の中で自らの研究を高めていくことが重要と考えられる。

メディア研究部 小平さち子

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