平成29年7月九州北部豪雨 防災・減災情報は避難に結びついたか?

~被災地住民の防災情報認知と避難行動調査から~

公開:2018年11月1日

「平成29年7月九州北部豪雨」では、線状降水帯による猛烈な雨が福岡県と大分県にかけての同じ地域で降り続けた。短時間のうちに中山間地の中小河川が氾濫、流域の集落が浸水や土砂災害に見舞われ、福岡県・大分県での死者・行方不明者は42人にのぼった。NHK放送文化研究所は、被災した福岡県朝倉市・東峰村、大分県日田市の20歳以上の男女2,000人を対象に世論調査を実施した。本稿では、この調査結果や現地取材に基づき、避難行動や情報伝達をめぐる課題を検討した。

回答者のうち、自宅などから避難場所など安全な場所に「立ち退き避難」をしたのは朝倉市で20%、東峰村で29%、日田市で21%だった。「立ち退き避難」の主要な動機は、避難勧告などの「情報」よりも、激しい雨や河川の水位の上昇などの異常な現象だった。また、「立ち退き避難」をした人の半数程度は自治体の指定避難場所以外の場所に移動していた。立ち退き避難者の多くが浸水した道路を通って移動しており、指定された避難場所にたどり着けなかったケースもあった。

「土砂災害警戒情報」「記録的短時間大雨情報」などの防災気象情報や「避難勧告」「避難指示(緊急)」などの避難情報を知ったのは「NHKテレビ」と「行政からのメール」が主要な手段であった。災害時の情報入手が「メール」などネットメディアにシフトする中で、「テレビ・ラジオ」の防災・減災情報はどうあるべきかが問われる時期にきている。

メディア研究部 入江さやか

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