調査研究ノート

放送のレトリック分析の可能性

~現場と研究を架橋する方法論として~

公開:2018年5月1日

放送番組を分析するために様々な方法が試みられてきたが、それぞれ一長一短があり、方法論の模索は続いている。そうした中で、多面的な放送テクストを分析する補助線のひとつとして「レトリック」の可能性を検討した。

レトリックは、表現・伝達の方法論としてギリシャ時代から研究され、隠喩や対比、反復などの古典レトリックの体系は、ヨーロッパの中等教育にも取り入れられてきた。19世紀にはいったん滅びた形になったが、20世紀後半にはレトリックが人々の認識のありかたに深く関わっていることが注目され復活した。

テレビのレトリック分析は2000年代に盛んになった記号論分析やカルチュラル・スタディーズなどに包含された形になっているが、レトリックは弁論術や表現のための実学として発展したため放送現場の制作者にもわかりやすく、暗黙知的な現場の方法を把握するのに役立つことが期待される。一方、記号論や認識論の研究ともつながる広がりがあることから放送現場とアカデミズムを橋渡しする共通の土台になりうる。

特に映像表現の世界では、レトリックが文法の役割を果たしており、暗喩や換喩などのレトリックに注目して番組の分析を進めることが出来る。アーカイブスによって個別番組の分析の環境が整いつつある中で、分析の補助線のひとつとしてレトリックの可能性を拓くことは重要である。

メディア研究部 塩田幸司

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