2016年リオパラリンピック放送の日英比較調査

~共生社会への変革と放送の役割~

公開:2017年11月6日

2016年9月にブラジルで開催されたリオデジャネイロパラリンピック。パラリンピックは、障害者も健常者も等しく生きる「共生社会」の実現を目標としているが、この目標に向けて放送はどう貢献できるのか。 NHKとイギリス・チャンネル4のリオパラリンピックの放送番組を収録し、放送規模や内容を分析した。

NHKとチャンネル4はともに、過去最大の放送時間を提供し、インターネットの利用を含めデジタルサー ピスを駆使した放送を行った。また、パラリンピックならではの特徴として、両者とも、ルールやクラス分けの説明を丁寧に提供した。一方、両者の違いは、チャンネル4がプレゼンターや解説者に障害者を多数起用していることにみられた。また、パラリンピアンの紹介においても違いがあり、 NHKはパラリンピアンのアスリートとしての能力にフォーカスし、チャンネル4はパラリンピアンの障害を克服する物語を含めた選手像を描いた。

総じて、 NHKは、パラリンピックをオリンピツクと同じ「スポーツ・イベント」として放送することに徹していた。一方、チャンネル4は、パラリンピアンの人間性を描き、パラリンピックへの人々の共感を呼ぶアプローチをとっていた。また、チャンネル4はほぼ毎日、夜間のライブの中継番組の中に、障害者と社会の問題を考えるリポートも放送していた。りポートをイギリスの家族が視聴するプライムタイムに編成したことによって、「スポーツ」の感動はもちろん、社会のあり方についても問題提起をするなど、パラリンピックの放送が、「共生社会」への変革を促す意識喚起となる可能性を示したといえる。

NHK放送文化研究所 計画管理部 渡辺誓司/メディア研究部 中村美子

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