2017年夏・防災気象情報の変革と豪雨災害

~報道はどう変わったか~

公開:2017年9月1日

2017年5月から7月にかけて、気象庁は防災気象情報の大幅な変革を行った。変革の重点は災害の切迫性を初期の段階から分かりやすく可視化して伝えることに置かれている。本稿は7月5日に島根県や九州北部で起きた豪雨災害に際して、新たな防災気象情報が差し迫った危機をどのように可視化していたのか、NHKはそれらをどう伝えたのかを明らかにし、洪水の報道がどのように変わったかを考察したものだ。調査と考察の結果は以下の通りである。
■新たな防災気象情報のうち、警報級の可能性「高」・「中」と注意・警戒時間帯の色分け表示は、大雨が降る一定のリスクを伝えていた。しかし、短時間に局所的に発生する積乱雲の予測に限界があることから、並外れた大雨の可能性を早い時間帯から伝えることはできなかった。
■大雨警報と洪水警報を補完する浸水害と洪水の危険度分布は、警報発表後の早い段階から危険度最高レベルを表示し、的確に危機が差し迫っている状況を可視化していた。
■NHKは大雨特別警報が福岡県内の市町村に発表される1時間半以上前から、危険度分布で危険度最高レベルが表示されていることを伝えた。洪水の危険度分布は記者がリアルタイムで解説した。ビッグデータを高速で処理し可視化する技術の進展により、リアルタイム解説の高度化が予想される。
■洪水の危険度分布によって、洪水の報道は中小河川を網羅した、流域全体を対象とする面的スタイルへと変わった。危険度の高い小さな川の名前を具体的に伝え、本川と支川の相関など流域を俯瞰する解説が行われた。

メディア研究部 福長秀彦

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