越水破堤のタイムラグと緊急時コミュニケーション

~鬼怒川決壊後、緊急情報はどう変わるか~

公開:2017年1月1日

近年は豪雨が多発し、川の水が堤防を乗り越えることで起きる「越水破堤」の危険性が増している。関東・東北豪雨の後、国土交通省は、堤防を越水しても決壊しにくい構造に補強し、越水~決壊までのタイムラグを引き延ばす「危機管理型ハード対策」の導入を決めた。本稿では、越水破堤のタイムラグはどの程度あるのか、過去の大水害でタイムラグが生かされていたのかなどを検証し、タイムラグを生かす課題を提示した。検証結果と課題は以下の通り。
■越水破堤のタイムラグを予測するのは難しく、近年の事例では約30分~5時間20分とばらつきが見られた。故に、安全を見越しタイムラグは常に短いものと考えてかからなければならない。危機管理型ハード対策の引き延ばしの効果は未知数であるが、これを減災に生かす情報が必要である。
■タイムラグを生かすには、普段から越水破堤の危険性を住民に周知し、越水発生後にそのリスクが高まっていることを伝える必要があるが、円山川と鬼怒川の越水破堤では、そうした情報が伝えられていなかった。
■タイムラグを生かすためには、越水発生時の「氾濫発生情報」で決壊のリスクが増していることを明確に伝える必要があるのではないか。
■想定最大規模降雨による家屋倒壊危険区域は、最悪のリスクを住民に知らせるものだが、想定の浸水が深すぎるためにハザードマップに使用できなかった自治体があった。

メディア研究部 福長秀彦

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