鬼怒川決壊 常総市の住民はどのように避難したのか?

~「平成27年関東・東北豪雨」における住民の防災情報認知と避難行動調査~

公開:2016年8月1日

「2015年9月関東・東北豪雨」の際に鬼怒川が決壊した茨城県常総市では、市の面積の3分の1が浸水。2人が亡くなり、浸水域で「孤立」した約4000人がヘリコプターなどで救出される事態となった。今回、避難指示・勧告の対象となった地域に居住していた20歳以上の男女1000人を対象に面接法による世論調査を実施した。本稿ではこの調査結果などをもとに、住民の避難行動や防災情報伝達をめぐる課題を検討する。
■自宅などから避難場所などへの「立ち退き避難」をしていた人は全体の55%で、近年の同様の水害事例と比較してかなり多かった。
■自宅などにとどまる「屋内安全確保」を選択した人は38%おり、このうち半数以上が結果的に孤立した。「屋内安全確保」の動機は「その場所は浸水しないと思った」が圧倒的だが、高齢者など要援護者がいたために移動が困難だったという人も1割を超えた。
■氾濫危険情報や大雨特別警報などの「全般的な情報」では危機感が高まりにくく、避難情報や近隣の声かけなどが立ち退き避難のきっかけとなっていた。
■全体の76%が自宅の浸水を想定しておらず、常総市が平成21年に配布した「洪水ハザードマップ」を「見たことがない」という人が53%にのぼり、地域の水害リスクが十分認識されていなかった。

メディア研究部 入江さやか

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