スマートフォンの普及に伴い、様々な事業者が様々な方法で、インターネット上にニュースコンテンツを提供するサービスに乗り出している。本稿では、こうした中、放送事業者によって始められた新たなサービスであるニュースのライブ配信に焦点を当て、主に若年層ユーザーの獲得の実現性などについて考察した。
具体的事例として取り上げたのは2つのライブ配信チャンネル、2015年4月に開始したフジテレビによる「ホウドウキョク」と、2016年4月にテレビ朝日がサイバーエージェントとの協業で始めた「AbemaNews」である。それぞれのチャンネルの番組編成表や番組内容を見ていくことで、サービスの特徴や課題を明らかにした。
放送事業者にとって、ネットでニュースのライブ配信サービスを行うことは、有事の際にはスムーズに放送の同時配信や現場からの中継などを行う新たな場を持つことを意味する。一方で、平時においては、どのようなコンテンツや演出がユーザーを掴むのか、どうしたらビジネスモデルが構築できるのか、まだ見えていない。先駆者「ホウドウキョク」は試行錯誤中であり、「AbemaNews」の挑戦は始まったばかりである。2つのチャンネルのケーススタディーを通じて、ニュースライブ配信サービスの今後の行方を考えた。