調査研究ノート

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~変容するメディア利用は「放送のオンライン化」をどう変えるのか?~(論文「Uses & Grats 2.0」の視点から)

公開:2016年5月1日

本稿で参照する論文、「<利用と満足2.0>:ニューメディアの新しい充足」(Sundar, .Limperos 2013)は、インターネットを基盤とするデジタル・メディアに関する<利用と満足>研究の近年の成果として注目されている。その主旨は、デジタル世代のユーザーがニューメディアを利用する際に抱く<欲求>とその<充足>が、コンテンツの<内容>のみから生じるのではなく、ユーザーとメディアとの<相互作用interaction/活動>の過程そのものから生じる傾向にある、という知見である。新たなメディア利用の形式(=活動化)と、その<新しい充足>の具体的なモデルを提示した「U& 2.0」の視座は、オンラインのメディア利用が世界的に拡大している理由、またモバイル化が進むメディア空間の中での「放送とそのオンライン化」の新たな位置、機能を考える上で重要な示唆をあたえてくれる。本稿ではまず「U&G 2.0」の主要な知見である、ニューメディア利用の活動化の動向と<新しい充足>のモデルを概観する。その上でメディア利用の<活動化>が、次世代の<放送のオンライン化>に及ぼすであろうで影響について、欧米の先行メディアを事例に分析を試みる。最後にそれらを踏まえて、次世代の「放送のオンライン化」のメディア・デザインに求められるであろう<新たな視座>と、それがもたらす可能性とリスクについて考察する。

メディア研究部 伊吹 淳

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