実施報告

開催日
2016年3月1日(火)、2日(水)、3日(木)
会場
千代田放送会館(千代田区紀尾井町)
参加者数合計
のべ1,312人(3月1日・・・671人、3月2日・・・368人、3月3日・・・273人)

ご要望にお応えし一部のプログラムの当日資料を公開しております

資料BOX

31日(火)

A

海外メディア最新事情

シンポジウム OTTはメディア産業をどう変えるか
~欧米最新事情、そして「グローバル戦略」について考える~

パネリスト

デビッド・ウィーランド (BBCワールドワイド上級副社長)

ジェームズ・ファレル (アマゾンジャパン プライム・ビデオ コンテンツ事業本部長)

西田 宗千佳 (ITジャーナリスト)


報告

山田 賢一 (NHK放送文化研究所 副部長)

田中 孝宜 (NHK放送文化研究所 上級研究員)


報告・司会

柴田 厚 (NHK放送文化研究所 上級研究員)


このシンポジウムでは、アメリカで“放送”のあり方を変えつつあるとも言われる、OTT(オーバー・ザ・トップ)サービスを取り上げました。アメリカ・イギリス・中国の文研担当者がそれぞれの国の最新事情を報告し、放送事業者、OTT事業者、ITジャーナリストを招いたパネルディスカッションでは、コンテンツの制作や配信に与える影響、グローバル戦略、放送との関係などについて、多様な意見が交わされました。OTTサービスをめぐる動きは“現在進行形”のホットなテーマであることを実感しました。

*発表に先立つアメリカのOTTサービスに関する研究内容を、NHK放送文化研究所『放送研究と調査』3月号に掲載しています。
採録、およびさらなる研究内容は、6月号7月号8月号をご覧ください。

B

国内メディア最新事情

報告 文研調査で探る現在の動画利用者像

報告

塚本 恭子 (NHK放送文化研究所 研究員)

海外大手の参入など、国内の動画配信サービスの環境が大きく変わる中、「いま」の動画利用者の実態をWEB調査やグループインタビューなどの結果から探りました。特に動画利用が活発な20代については、生活の場面ごとに動画を見る目的はやや異なること、「食事中」の動画視聴では「テレビ番組」の動画が比較的よく見られていることなどを紹介しました。

*調査報告の概要は、『放送研究と調査』6月号をご覧ください。

研究発表 「これからのテレビ」はどこに向かうのか? ~2030年を見据えて~

ゲスト

吉田 眞人 (総務省大臣官房審議官<放送行政担当>)

報告・聞き手

村上 圭子 (NHK放送文化研究所 主任研究員)

伝送路、端末、サービス、視聴行動等のシームレス化が進む中、今後の放送制度や新たなビジネスモデルを視野に入れた議論を行いました。具体的には、放送の高度化としての4K・8Kや同時配信サービスの課題の整理を行うと共に、放送局が通信放送融合サービスを行うにあたっての制度的論点を提示しました。

*研究発表と対談の内容は、『放送研究と調査』6月号をご覧ください。

32日(水)

C

ワークショップ まだ先?既に準備期間? 「放送100年史」を構想する

問題提起

松山 秀明 (東京大学大学院情報学環特任助教)

コメンテーター

村橋 勝子 (社史研究家)

丹羽 美之 (東京大学大学院情報学環准教授)

司会

宮田 章 (NHK放送文化研究所 上級研究員)

2025年に「放送100年史」を出すとすれば、どんなものが考えられるか、意見を出し合いました。アーカイブを最大限活用して「放送番組でつづる100年」を作ってはという意見(東大・丹羽准教授)の他、社史研究家の村橋勝子さんからは、総体としての社史が、日本の産業史を語る百科事典になっているとの指摘があり、これを受けて、番組外の情報も含めた放送の事典を編纂してはという意見(早大・伊藤教授)も出されました。

D 研究発表 新・NHKアクセント辞典 ポイント解説!
~改訂から見える“放送のことば”~

コメンテーター

梅津 正樹 (元NHKアナウンサー、獨協大学非常勤講師)

秀島 史香 (ラジオパーソナリティー、ナレーター)

報告

塩田 雄大 (NHK放送文化研究所 主任研究員)

司会

中尾 晃一郎 (NHK放送文化研究所 放送用語・表現グループ副部長)

ことし発行の『NHK日本語発音アクセント新辞典』について、改訂のポイントを解説し、どのような語のアクセントを変更したのか、なぜ変えるのかについてコメンテーターとともに大いに語り合いました。
「二次会」「護衛艦」「能」・・・などアクセントを変更する語について、それぞれの意見や見解がぶつかり合う白熱した議論も交わされた、熱いプログラムとなりました。

このプログラムの全編動画を配信しています。
また、『放送研究と調査』では、7月号から連載をしています。

動画ページへ

E 研究発表 迫りくる大規模水害にどう備えるのか?
~「関東・東北豪雨」に見る緊急時情報伝達と避難をめぐる課題~

コメンテーター

田中 淳 (東京大学 総合防災情報研究センター長)

辻村 和人 (NHK報道局 災害・気象センター長)

報告

福長 秀彦 (NHK放送文化研究所 研究主幹)

入江 さやか (NHK放送文化研究所 上級研究員)

昨年9月の「関東・東北豪雨」では、茨城県常総市で鬼怒川が決壊。4,000人以上が救出される事態となりました。この最悪の事態を前に、国や自治体は的確な情報伝達ができていたのか、住民は防災情報をどのように知り、どのような避難行動をとったのか。関係者からのヒアリングや住民調査に基づき実態と課題を報告し、想定される首都圏大水害などに対しどのように対処すべきか、コメンテーターのお二人と議論を深めました。

*調査の結果は、『放送研究と調査』2月号をご覧ください。

33日(木)

F 研究発表 「時間」からみる日本人の生活
~2015年国民生活時間調査報告とトークセッション~

ゲスト

織田 一朗 (時の研究家、日本時間学会理事)

報告

関根 智江 (NHK放送文化研究所 研究員)

林田 将来 (NHK放送文化研究所 研究員)

聞き手

滝島 雅子 (NHK放送文化研究所 主任研究員)

生活時間調査からは、日本人の生活の変化について報告しました。仕事や学業の時間が早まり、それに伴い“早寝早起き”の人が増えていること、男女の家事時間は少しずつ縮まっているもののその差はまだ大きいこと、睡眠時間の減少が止まり、食事や身のまわりの用事といった行動に費やす時間が増えているなどの変化がみられました。
トークセッションでは、長年時計メーカーに勤め、「時」と「時計」の研究を重ねる織田一朗さんから、「せっかち」といわれる現代の日本人の時間感覚についてお話をききました。

*国民生活時間調査の報告は、『放送研究と調査』5月号に掲載しています。

G シンポジウム 東日本大震災から5年
“伝えて活かす”震災アーカイブのこれから

パネリスト

今村 文彦 (東北大学災害科学国際研究所所長)

東北大学アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」(NHKサイトを離れます)

小野 史典 (多賀城市総務部地域コミュニティ課長)

史都・多賀城防災・減災アーカイブス「たがじょう見聞憶」(NHKサイトを離れます)

諏訪 康子 (国立国会図書館電子情報部主任司書)

国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(愛称:ひなぎく)(NHKサイトを離れます)

渡邉 英徳 (首都大学東京システムデザイン学部准教授)

多元的デジタルアーカイブ 東日本大震災アーカイブ(NHKサイトを離れます)

倉又 俊夫 (NHK知財センター チーフ・プロデューサー)

NHK東日本大震災アーカイブス

コメンテーター

吉見 俊哉 (東京大学大学院情報学環教授)

司会・報告

山口 勝 (NHK放送文化研究所 主任研究員)


「利活用」と「持続性」をキーワードに、震災アーカイブの「これから」を考えました。「デジタルアーカイブは過去を、今に活かすためにある」と画像などのアーカイブデータに注目し、防災情報や復興アプリ、減災まちづくりに活用する新たな取り組みが紹介されました。一方で「利用されないアーカイブは持続できない」「データのオープン化をどう進めるのか」など議論はアーカイブやメディアの「公共性」にまで及びました。

*シンポジウムの様子は、『放送研究と調査』7月号をご覧ください。

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