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研究発表・シンポジウム

2012年研究発表とシンポジウム

東日本大震災とメディア Part1

東日本大震災の発生以来、放送文化研究所では「震災とメディア」についてさまざまな角度から調査・研究に取り組んできました。災害報道は放送メディアの根幹をなす使命であるという認識とともに、もっと多くの命を救うために何ができたのか、そして今後、何をすべきなのかという放送人としての思いからです。
 今回の「研究発表とシンポジウム」では、「命を守る」という放送の原点について見つめなおすとともに、放送文化研究所ならではの視点から「震災とメディア」について考えました。

実施報告
3月7日(水)午前の部 イイノホール(千代田区内幸町) 参加者数合計 のべ684人
研究発表海外のテレビニュース番組は、東日本大震災をどう伝えたのか
報告者

斉藤 正幸 (NHK放送文化研究所 主任研究員)
田中 則広 (NHK放送文化研究所 専任研究員)

東日本大震災を海外のテレビはどのように伝えたのか、7か国8放送局の最も視聴されているニュース番組の内容、時間量などを分析。発生後8日間では、5局で震災関連ニュースの占める割合が5割を超えていたこと、発生から1週間前後は各局とも震災関連項目をトップに据えていたこと、震災関連のなかでも原発事故関連ニュースが最も多く報道されていたことなどを報告しました。

*今回、報告を行なった主な内容は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2012年3月号に掲載しています。

研究発表東日本大震災で日本人はどう変わったか ~全国世論調査の結果から~
報告者

政木 みき (NHK放送文化研究所 研究員)

2011年12月に実施した全国世論調査結果の報告。震災後の防災意識として、国民の8割が大地震に不安を感じていること、震災後、6割の人が防災対策を強化していること、原発やエネルギーに関して、原発を「減らす」・「すべて廃止すべき」が合わせて7割にのぼっていること、価値観の変化として、結婚は当たり前と考える人が増加していることなどを報告しました。

*世論調査の詳細な報告は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2012年6月号に掲載しています。

研究発表巨大津波襲来と警報・メディア ~想定外をどう伝えるか~
報告者

福長 秀彦 (NHK放送文化研究所 研究主幹)

  東日本大震災では、想定と予測をはるかに上回る巨大津波が襲来しました。気象庁は第1報で津波の予想高さを過少評価し、第2報、第3報で予想高さを修正しましたが、これが必ずしも的確に伝わらず、逃げ遅れた人もいました。

自然現象の想定と予測には絶えず不確実性がつきまといますが、想定外の危機を的確に伝えるにはどうしたら良いのか、気象庁や放送メディアの情報伝達と被災地の自治体や住民の方々の認知と対応を調査・分析し、課題をピックアップしました。

*今回、報告を行なった主な内容は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2012年1月号に掲載しています。

シンポジウム命を救う情報・メディアを考える ~東日本大震災で見えた緊急情報伝達の課題~
パネリスト
越野 修三 (岩手県総合防災室 特命参事)
武田 敏哉 (IBC 岩手放送 報道局長)
山田 健太 (専修大学 文学部 人文・ジャーナリズム学科 准教授)
矢守 克也 (京都大学 防災研究所 巨大災害研究センター 教授)
冷水 仁彦 (NHK 理事)
*役職名は開催時のもの
司 会
目黒 英一 (NHK放送文化研究所 副所長)

東日本大震災でもっと多くの命を救えなかったのかという思いから、「多くの命を奪った津波の襲来までの報道はどうあるべきか」をテーマに据えたシンポジウム。
  住民にどのような情報を伝えるのか、津波情報の伝達に新しいメディアはどのような役割を果たせるのか、住民の避難を促すにはどうすればいいのかなどについて、議論を展開しました。

*シンポジウムの再録は、NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2012年6月号に掲載しています。