放送界の動き

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

    英BBC StudiosがAmazonと共同制作

    イギリスの公共放送BBCの制作部門を分社化したBBC Studiosは1月19日,Amazon Prime Videoと共同でコメディー番組シリーズ『グッド・オーメンズ』(Good Omens)を制作し,2018年にはAmazon Primeで配信後,BBCが国内放送することを発表した。この番組は,30年前に出版された同名小説の番組化で,日本でも翻訳出版されている。また,BBCの商業部門であるBBC WorldwideがAmazonにSVODの世界展開権を付与するというスキームで行われる。なお,BBC Studiosの分社化は,昨年(2016年)12月に監督機関であるBBC Trustから正式な承認を得た。

    英下院,"フェイクニュース"調査を開始

    イギリス下院の文化メディアスポーツ常任委員会は1月30日,虚偽のニュース・情報(フェイクニュース)に関する調査を開始した。近年,新聞やテレビといった伝統的なメディアへの信頼が低下する一方,情報源が不確かであるにもかかわらず,人々がインターネットやソーシャルメディアに依存する傾向が強まっている。こうした中,委員会は,2016年の米大統領選において有権者が前例のないほど大量の"フェイクニュース"の影響にさらされたことを民主主義への脅威とみなし,そもそもフェイクニュースとは何かという定義から,その影響や検索エンジンの責任などまでを幅広く検証する。この調査に関する意見は,3月3日に締め切られる。

    仏,インターネットによるテレビ番組視聴増加

    フランスの民間の調査会社Médiamétrieが1月下旬に発表したところによると,フランスにおける2016年のテレビ番組の視聴時間は,1日平均3時間52分で,2015年に比べて2分増加した。このうち,従来型のテレビ受信機による視聴は3分減って3時間33分だった。これに対して,インターネットのオンラインサービスを通じて,パソコン,タブレットそれにスマートフォンによってテレビ番組を視聴したのは,2015年より5分増えて1日平均19分だった。また視聴世帯の16%が従来型のテレビを持たず,35歳以下の65%はネットでしかテレビ番組を視聴していなかった。

    独裁判所,別荘に課す放送負担金も合憲と判断

    ドイツの行政裁判の最高審である連邦行政裁判所は1月25日,別荘の所有者に放送負担金の支払い義務を課すことは合憲であるとの判決を下し,合わせて8件の上告をまとめて棄却した。原告の一部は,別荘には受信機がないのに放送負担金を満額支払うのは不公平だと訴えていたが,裁判所は,受信機の有無にかかわらず,住居ごとに放送負担金を徴収するのは合憲だとするこれまでの見解を維持した。また他の原告は,自宅と別荘ともに自分1人しか住んでいないのに2軒分の支払いをするのは不公平だと訴えていたが,裁判所は,このようなケースは少ないうえ,例外規定を設けると調査のコストもかかり,居住者のプライバシーを侵害するおそれもあるとして,訴えを退けた。

    独放送負担金制度,部分改正が発効

    ドイツの放送負担金制度について,支払い者の部分的な負担軽減を目的とした改正が1月1日に発効した。主な改正点は,①免除申請手続きの簡便化,②社会福祉施設や学校など公益目的の施設の支払い額を3分の1に軽減,③従業員数に応じた事業所の支払いについて,非常勤従業員の常勤換算を認める,④支払い免除の親と同居する子どもについて,支払い義務の開始年齢を18歳から25歳に上げる,⑤全国民の住民登録データとの照合を2018年にも行う,などである。また,公共放送ARDの内部規則の改定により,1月1日から,未払い金の回収の際,強制執行の手続きをとる前に民間の債権回収会社に集金の委託ができるようになった。

    ノルウェー,アナログラジオ終了開始

    デジタルラジオへ完全移行する方針を示しているノルウェーで,その第一歩として2017年1月11日午前11時11分,北部のヌールラン地方でFM放送が終了した。ノルウェーは2015年4月に世界で初めてラジオの完全デジタル化を行うことを発表し,DAB方式のデジタルラジオの普及を進めてきた。ノルウェー政府は,2017年末までに全国のFM放送を終了することにしているが,車載ラジオのデジタル化が十分に進んでいないことなどから66%の人が反対しているという調査結果もある。